資金援助方式を理解する
金融機関が経営破綻した場合、預金者保護と金融システムの安定を図るため、預金保険機構が破綻処理を行います。その際、健全な金融機関(受け皿金融機関)に破綻した金融機関の事業を譲り渡す方法が採られることがあります。この事業譲渡を円滑に進めるために、預金保険機構が受け皿金融機関に資金援助を行うことがあります。これが資金援助方式です。
資金援助方式では、破綻した金融機関の事業の一部、あるいは全部を譲り受ける受け皿金融機関に対し、事業をスムーズに引き継げるよう必要な資金を提供します。預金保険機構は、破綻金融機関の資産を売却して資金を回収しますが、売却額で損失を全て埋められない場合があります。資金援助はこの損失を穴埋めするために使われます。つまり、預金保険機構は、受け皿金融機関への資金援助によって、預金者の預金を保護し、金融システムの混乱を防ぎ、ひいては国民経済への悪影響を最小限に抑えることを目指しています。
この資金援助は、国民の税金から成る公的資金注入の一環として行われます。そのため、資金使途の透明性が求められ、預金保険機構は国民への説明責任を負います。また、資金援助を受けた金融機関にも経営の立て直しが求められます。金融機関は、経営を健全化し再建するための計画を作り、預金保険機構の監督の下で計画を実行していく義務を負います。この一連の取り組みを通じて、金融システムの信頼性確保を目指します。