トラッキング・エラー:ベンチマークとのズレ
運用成績を測る上で、目標とのズレを把握することは大切です。このズレを数値化したものが、追跡誤差と呼ばれるものです。追跡誤差とは、運用している資産の組み合わせである運用資産群の成績が、目標とする指標からどれくらい離れているかを示す尺度です。
指標とは、運用資産群の成績を比べるための基準となるもので、よく知られているものとしては、日経平均株価や東証株価指数などがあります。これらの指標は、市場全体の動きを反映するものとして広く利用されています。
追跡誤差は、運用資産群の収益率と指標の収益率の差を、統計学で用いられる標準偏差という方法で計算します。標準偏差とは、データのばらつき具合を表す数値です。追跡誤差が大きいほど、運用資産群の成績が指標から大きく離れる可能性が高いことを示しています。
具体的な計算方法としては、まず一定の期間における運用資産群の収益率と指標の収益率の差を計算します。この計算を複数の期間にわたって行い、それぞれの期間における差を記録します。そして、これらの差のばらつき具合を標準偏差として計算することで、追跡誤差を求めます。
追跡誤差は、運用資産群の運用方針や危険度の管理において重要な指標となります。追跡誤差が小さいということは、運用資産群が指標に沿って安定的に推移していることを示し、危険度が低いと考えられます。逆に、追跡誤差が大きいということは、運用資産群の成績が指標から大きく乖離する可能性があり、危険度が高いと考えられます。追跡誤差を見ることで、運用資産群の運用状況を的確に把握し、より効果的な運用を行うことができます。