移動平均で為替を読む

移動平均で為替を読む

はじめに

お金のやり取りの世界では、将来の値動きを予想するために、様々な方法が使われています。中でも、過去の値動きを調べて将来の値動きを予想するやり方を、専門的な言葉で「テクニカル分析」と言います。たくさんのテクニカル分析の方法の中で、今回は「移動平均収束拡散法」、略してマックディーと呼ばれる方法について説明します。これは、ジェラルド・アペルという人が考えた方法です。

マックディーは、移動平均線という線を使った分析方法です。移動平均線とは、過去の一定期間の値段の平均を線でつないだものです。例えば、過去２５日間の終値の平均を毎日計算し、それを線でつなぐと、２５日移動平均線ができます。マックディーでは、この移動平均線を２種類使います。よく使われる組み合わせは、１２日移動平均線と２６日移動平均線です。これらの線が近づいたり、交差したりする様子を見て、売買のタイミングを判断します。

マックディーで特に注目すべき点は、２つの移動平均線の交差と、それらの線と実際の値段との乖離です。２つの線が交差するとき、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に突き抜ける状態を「ゴールデンクロス」と呼び、買いのサインと捉えます。逆に、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に突き抜ける状態を「デッドクロス」と呼び、売りのサインと捉えます。

また、移動平均線と実際の値段が大きく離れている場合は、いずれ値段が移動平均線に近づくと考えられます。この乖離の大きさから、売られすぎや買われすぎの状態を判断することもできます。つまり、値段が移動平均線から大きく上に離れている場合は買われすぎ、逆に大きく下に離れている場合は売られすぎと判断し、売買のタイミングを計ります。

マックディーは、比較的簡単な方法でトレンドや転換点を捉えることができるため、多くの投資家に利用されています。しかし、どんな分析方法にも完璧なものはありません。マックディーも万能ではなく、他の分析方法と組み合わせて使うことで、より精度の高い予測が可能になります。

移動平均線の基礎

値動きの激しい株価を滑らかにすることで、売買の判断材料となるのが移動平均線です。これは、一定期間の価格の平均値を繋げた線のことです。例えば、10日間の移動平均線であれば、過去10日間の終値の平均値を毎日計算し、その値を線で結んで表示します。

移動平均線を見ることで、短期的な値動きに惑わされることなく、株価の大きな流れ、すなわちトレンドを掴むことができます。日々の株価は上がったり下がったりと変動しますが、移動平均線はこれらの小さな動きを平均化するため、滑らかな線を描きます。この滑らかな線を見ることで、全体的な株価の動きが上昇傾向なのか、下降傾向なのか、あるいは横ばいで推移しているのかを判断しやすくなります。

移動平均線を使う際の期間設定は分析の目的に合わせて変えることができます。短期の売買シグナルを得たい場合は、5日や10日といった短い期間の移動平均線を用います。逆に、長期的なトレンドを把握したい場合は、25日、75日、あるいは200日といった長い期間の移動平均線を用いるのが一般的です。

複数の期間の移動平均線を組み合わせることで、より精度の高い分析が可能になります。例えば、短期移動平均線と長期移動平均線のクロスを売買シグナルとして活用する方法があります。短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けた場合は「買いシグナル」、逆に上から下に突き抜けた場合は「売りシグナル」と判断する、といった具合です。

移動平均線は万能ではありませんが、株価分析の基本的な道具として広く活用されています。使い方をしっかりと理解することで、投資判断の役に立つでしょう。

マックディーの仕組み

マックディーは、相場の買われすぎや売られすぎを判断するのに役立つ、広く知られた手法です。値動きを平均化した線を用いることで、短期的な価格変動の影響を抑え、より大きな流れを読み解くことを目指します。

マックディーを計算するには、まず二本の移動平均線が必要です。一般的には、12日間と26日間の指数移動平均線が使われます。短い期間の移動平均線は、最近の価格変動により敏感に反応し、長い期間の移動平均線は、より長期的な傾向を示します。この二本の移動平均線の差を計算したものが「マックディー線」と呼ばれ、相場の勢いを表します。マックディー線がプラスの値であれば、短期的な勢いが強く上昇傾向を示唆し、逆にマイナスの値であれば、下降傾向を示唆します。

さらに、マックディー線の9日間の指数移動平均線を計算し、これを「信号線」と呼びます。信号線は、マックディー線の動きを滑らかにし、売買のタイミングを判断する目安となります。マックディー線と信号線の関係が重要なポイントです。マックディー線が信号線を下から上に突き抜けた場合、これは「買いシグナル」と解釈されます。逆に、マックディー線が信号線を上から下に突き抜けた場合、これは「売りシグナル」と解釈されます。

ただし、マックディーだけで売買を判断するのは危険です。相場には様々な要因が影響するため、他の指標と組み合わせて使うことで、より精度の高い分析が可能となります。例えば、価格の動きや出来高の変化なども合わせて確認することで、より確実な売買判断ができます。また、マックディーは過去のデータに基づいて計算されるため、未来の価格変動を確実に予測するものではありません。あくまでも、売買判断の材料の一つとして活用することが大切です。

乖離（かいり）の重要性

売買の判断材料として、値動きの流れと勢いを測る方法の一つに「乖離（かいり）」というものがあります。これは、相場の動きを示す線（マックディーライン）と、その動きを平均化した線（シグナルライン）の二つの線の間の幅を指します。

この二つの線が大きく離れている、つまり乖離が大きい時は、値動きの勢いが強いことを示しています。例えば、価格が急上昇している局面では、マックディーラインはシグナルラインから大きく上方に離れていきます。これは、市場参加者の多くが強気に傾いており、上昇の勢いが増していることを意味します。反対に、価格が急落している局面では、マックディーラインはシグナルラインから大きく下方に離れていきます。これは、市場参加者の多くが弱気に傾いており、下落の勢いが増していることを意味します。

乖離が縮小していく時は、値動きの勢いが弱まっていることを示唆します。上昇トレンドの局面で乖離が縮小し始めるのは、上昇の勢いが鈍化し、天井が近い可能性を示唆しています。逆に、下降トレンドの局面で乖離が縮小し始めるのは、下落の勢いが鈍化し、底値が近い可能性を示唆しています。

特に注目すべきは、大きな乖離の後です。大きな乖離の後、二つの線が再び近づき始める動きは、値動きの流れが反転する可能性を示唆する重要な合図となることがあります。上昇トレンドの後に大きな乖離が発生し、その後二つの線が近づき始めたら、下降トレンドへの転換を示唆している可能性があります。逆に、下降トレンドの後に大きな乖離が発生し、その後二つの線が近づき始めたら、上昇トレンドへの転換を示唆している可能性があります。

このように、乖離の拡大と縮小を注意深く観察することで、売買のタイミングを計るための貴重な手がかりを得ることができます。ただし、乖離はあくまでも一つの指標であり、他の指標と組み合わせて総合的に判断することが重要です。

注意点と限界

移動平均収束拡散法（マックディー）は、株式や為替などの値動きを分析する上で、頼りになる道具の一つです。しかし、万能な方法ではないことを理解しておく必要があります。マックディーは、過去の値動きから計算されるため、未来の値動きを完全に予測することはできません。まるで天気予報のように、ある程度の予測はできますが、必ずしもその通りになるとは限りません。

マックディーをより効果的に使うためには、他の分析方法と組み合わせて使うことが重要です。例えば、値動きの勢いを示す指標や、売買のシグナルを示す指標などと併用することで、より多角的な分析が可能になります。複数の情報源を参考にすることで、より確かな判断材料を得ることができます。

また、マックディーは過去のデータに基づいて計算されるため、急激な市場の変化には対応できない場合があります。例えば、大きな経済ニュースや自然災害など、予想外の出来事が起きた場合には、市場が大きく変動することがあります。このような場合には、マックディーのシグナルが遅れたり、誤った方向を示したりする可能性があります。常に市場の状況を注意深く見守り、柔軟に対応することが大切です。

さらに、マックディーだけに頼りすぎるのは危険です。過信は禁物です。どんな分析方法にも限界があることを理解し、リスク管理を徹底することが重要です。損失を限定するために、損切り注文を設定したり、資金管理を適切に行ったりするなど、慎重な取引を心がけましょう。常に最新の情報に注意を払い、状況に応じて柔軟に対応することで、より安全で効果的な投資を行うことができます。

まとめ

移動平均線は、過去の価格の平均を線でつなぎ、現在の相場動向を把握するために広く使われています。マックディー（MACDMoving Average Convergence Divergence）は、この移動平均線をさらに進化させた指標で、二つの異なる期間の移動平均線の差（乖離）に着目することで、相場の勢いの強弱や変化を捉えることを目的としています。

マックディーは、主に短期（速い）移動平均線と長期（遅い）移動平均線の二つの線で構成されています。短期移動平均線は、直近の価格変動により敏感に反応するため、長期移動平均線よりも上下に大きく動きます。マックディーでは、この二つの線の差を計算し、その動きをヒストグラムやシグナル線で表示します。

二つの移動平均線が大きく乖離している時は、相場の勢いが強いと判断できます。例えば、短期移動平均線が長期移動平均線を大きく上回っている状態は、上昇トレンドが強いことを示唆しています。逆に、短期移動平均線が長期移動平均線を大きく下回っている場合は、下降トレンドが強いと判断できます。

マックディーは、売買のタイミングを計るシグナルとしても利用できます。短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜ける（ゴールデンクロス）時は買いシグナル、上から下に突き抜ける（デッドクロス）時は売りシグナルと解釈されます。また、ヒストグラムの動きからも売買シグナルを読み取ることができます。ヒストグラムがゼロラインを下から上に突き抜ける時は買いシグナル、上から下に突き抜ける時は売りシグナルとなります。

ただし、マックディーだけで売買を判断するのは危険です。相場は様々な要因に影響されるため、他の指標と組み合わせて使う、あるいは経済指標や市場の状況などを総合的に判断することが重要です。また、どんな売買手法にも絶対的な確実性はないため、損失を限定するための適切な対策が必要です。

マックディーを効果的に活用するためには、継続的な学習と市場分析が欠かせません。市場環境は常に変化するため、過去の成功体験に固執せず、常に新しい情報を吸収し、柔軟に対応していくことが長期的な成功につながります。