年金掛金の再計算:5年ごとの見直し
会社員等の老後の生活資金を支える仕組みとして、国が運営する公的年金制度に加え、会社などが独自に設ける私的年金制度があります。この私的年金制度の一つである厚生年金基金や確定給付企業年金では、将来受け取れる年金額があらかじめ決まっているため、その金額を確実に支払うために、定期的に掛金の再計算を行います。
この再計算は、将来の年金給付額を維持するために必要な掛金の水準を見直す、とても重要な手続きです。もし掛金が不足していれば、将来の年金給付に支障が出て、年金を受け取ることが難しくなる場合もあります。反対に、掛金が過剰であれば、会社の財政的な負担が大きくなり、会社の経営を圧迫する可能性があります。そのため、定期的な見直しによって、年金制度の健全な運営を維持し、加入者である従業員と会社双方の利益にとって、適切な掛金水準を保つことが大切です。
具体的には、年金の計算を行う際に前提となる様々な数値、すなわち基礎率を見直した上で、将来の給付に必要な掛金を計算し直します。この基礎率には、平均寿命の延びや金利の変動といった、年金制度の財政に大きな影響を与える様々な要因が反映されています。近年、平均寿命は延びる傾向にあり、年金を受け取る期間も長くなることが予想されています。また、金利の変動も年金資産の運用に影響を与えます。これらの要因は常に変化するため、定期的に見直しを行い、適切な基礎率を設定することが重要です。
さらに、厚生年金基金においては、国が運営する公的年金の一部を基金が代行して集める、いわゆる代行部分の保険料率の計算も同時に行う必要があります。この代行保険料率は、公的年金制度との整合性を保ち、公的年金と私的年金の給付を適切に調整するために必要なものです。これらの計算は複雑で専門的な知識が必要となるため、専門家である数理人が計算を行います。