損益通算とは?
損益通算とは、一定期間内の投資における利益(譲渡益・配当)と損失を相殺し、課税対象となる所得を減らすことで税金を節約できる制度です。
例えば、A株で30万円の利益が出て、B株で20万円の損失が出た場合、損益通算により課税対象は差額の10万円のみとなります。
損益通算できる所得の組み合わせ
| 利益の種類 | 相殺できる損失 | 備考 |
|---|---|---|
| 株式の譲渡益 | 株式の譲渡損 | 同一口座内は自動計算 |
| 株式の配当金 | 株式の譲渡損 | 申告分離課税を選択時 |
| 投資信託の譲渡益 | 投資信託の譲渡損 | 株式との通算も可能 |
| 特定口座の利益 | 他の特定口座の損失 | 確定申告が必要 |
注意:FX(先物取引等)の利益と株式の損失は通算できません。税制上の区分が異なるためです。
損益通算の具体的な計算例
ケース1:同一口座内の通算
特定口座(源泉徴収あり)の場合:
・A社株売却益:+50万円 → 税金 101,575円(20.315%)
・B社株売却損:-30万円
・通算後:課税対象 20万円 → 税金 40,630円
・節税額:60,945円
ケース2:複数口座間の通算(確定申告必要)
・証券会社Aの利益:+100万円(税金 203,150円 源泉徴収済み)
・証券会社Bの損失:-60万円
・確定申告で通算 → 課税対象40万円 → 税金 81,260円
・還付額:121,890円
確定申告での損益通算の手続き
必要書類
1. 年間取引報告書:各証券会社から1月中旬に届く
2. 確定申告書B:第三表(分離課税用)も使用
3. 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
4. マイナンバーカード(e-Tax利用時)
申告手順
ステップ1:各証券会社の年間取引報告書を収集
ステップ2:国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセス
ステップ3:「株式等の譲渡所得等」を選択し、各口座の情報を入力
ステップ4:配当所得の申告方法を「申告分離課税」に設定(配当との通算時)
ステップ5:損失の繰越控除を希望する場合はチェックを入れる
繰越控除(3年間の損失繰越)
その年の利益と相殺しきれなかった損失は、翌年以降3年間繰り越して将来の利益と相殺できます。
繰越控除の例:
2025年:損失 -100万円(利益なし → 100万円を繰越)
2026年:利益 +40万円 → 繰越損失と相殺 → 課税ゼロ、残り60万円繰越
2027年:利益 +60万円 → 繰越損失と相殺 → 課税ゼロ
2028年以降:繰越期限切れ
重要:繰越控除を利用するには、損失が出た年から毎年連続して確定申告する必要があります(利益がゼロの年も申告が必要)。
損益通算の注意点
1. NISA口座は対象外:NISA口座での損失は損益通算できません。非課税のメリットがある代わりに、損失の税制優遇もありません。
2. 特定口座(源泉徴収あり)でも、複数口座間の通算には確定申告が必要です
3. 配当との通算は「申告分離課税」を選択した場合のみ可能(総合課税では不可)
4. 申告期限:翌年の2月16日〜3月15日(還付申告は1月1日から可能)
5. 住民税への影響:確定申告すると住民税や国民健康保険料に影響する場合があります
まとめ
損益通算は投資家にとって重要な節税手段です。特に複数の証券口座を持っている場合や、損失が出た年は確定申告による損益通算を検討しましょう。3年間の繰越控除も活用すれば、将来の利益に対する税負担を大幅に軽減できます。
