証券貸付で運用益を増やす
証券貸付とは、年金基金や投資信託といった大きな機関投資家が所有する株や債券などを、証券会社や投資ファンドといった他の金融機関に一定期間貸し出す取引のことです。まるで図書館で本を借りるように、お金を払って株券などを借りる仕組みです。貸し出す期間は数日から数ヶ月、長い場合は数年にもなります。
貸し出す側の機関投資家は、借りた側に証券を返してもらうだけでなく、品貸料と呼ばれる手数料を受け取ることができます。これは、本を借りる際の手数料のようなものです。品貸料の額は、貸出期間の長さや、貸し出す株や債券の種類、市場での需要と供給のバランス、そして貸し倒れのリスクなどを考えて決められます。
機関投資家は、証券貸付を利用することで、保有している証券の運用効率を高めることができます。株や債券をただ持っているだけでは、配当金や利息といった収入しか得られません。しかし、証券貸付を使えば、品貸料という追加の収入を得ることができ、全体の運用成績を向上させることが期待できます。
借りる側の金融機関は、様々な目的で証券貸付を利用します。例えば、株価の下落を見込んで株を売って利益を狙う「空売り」を行う際に、売るための株を証券貸付で借りることがあります。また、株の売買による決済の失敗を防ぐため、一時的に株を借りることもあります。さらに、株主総会で議決権を行使するために株を借りる場合もあります。このように、証券貸付は金融市場において様々な役割を果たしており、市場の流動性を高めることにも貢献しています。