想定元本とは?仕組みを解説
金融商品の取引、特に金利の交換に関する取り決めの中で、「想定元本」という概念は重要な役割を担っています。これは、文字通り計算のために想定された元手の金額を指し、実際の金銭のやり取りでは使われません。いわば、計算の土台となる仮想的な金額と言えるでしょう。
具体例を挙げると、会社Aと会社Bが金利の交換契約を結んだとします。会社Aは固定された金利を、会社Bは市場の変動に合わせた金利を支払うという契約です。この際に、想定元本が1億円と設定された場合、支払う金利はこの1億円を基準に計算されます。しかし、会社Aと会社Bの間で実際に1億円が行き来するわけではありません。
例えば、ある時点で会社Aが支払うべき固定金利が年1%、会社Bが支払うべき変動金利が年0.5%だったとしましょう。この時、想定元本1億円に対して、会社Aは100万円(1億円×1%)、会社Bは50万円(1億円×0.5%)の金利を支払う義務が生じます。しかし、実際に両社間でやり取りされるのは、その差額である50万円のみです。会社Bは会社Aに50万円を支払うだけで済みます。このように、想定元本は金利の計算の基準として用いられるだけで、実際の資金の受け渡しには関与しない点が大きな特徴です。この仕組みにより、企業は大きな金額の資金移動を行うことなく、金利変動のリスクを管理することが可能になります。