議決権なし?無議決権株式を徹底解説
無議決権株式とは、その名の通り、株主総会での議決権を持たない株式のことを指します。通常、株式会社の株式を保有する株主は、株主総会に出席し、会社の重要事項に関する決定に投票する権利、すなわち議決権を持っています。具体的には、会社の経営方針の決定や、取締役などの役員の選任、会社の合併や分割など、会社の将来を左右する重要な議題について、自分の意見を反映させることができます。しかし、無議決権株式を保有する株主には、この議決権が与えられていません。
一見、議決権がないのは不利なように思われますが、必ずしもそうではありません。無議決権株式であっても、配当金や株主優待といった、通常の株式と同様の経済的な利益を受け取ることができる場合が多いです。むしろ、議決権がない代わりに、配当金が割増されていたり、より魅力的な株主優待が提供されているケースも存在します。
では、なぜ企業は無議決権株式を発行するのでしょうか?大きな理由の一つは、会社の支配権を維持するためです。例えば、創業家や既存の経営陣が、会社の支配権を手放さずに、安定した経営を継続したいと考える場合があります。このような場合、無議決権株式を発行することで、議決権を自分たちの手に集中させ、外部からの影響を受けにくくすることができます。また、資金調達をスムーズに行うためという目的もあります。投資家の中には、議決権への関心は薄く、より高い配当金や魅力的な株主優待を求める人もいます。そのような投資家にとって、無議決権株式は魅力的な投資対象となり、結果として、会社は円滑に資金を調達できる可能性が高まります。無議決権株式は、種類株式と呼ばれるものの一種です。種類株式とは、議決権の有無や配当金の割合など、株主としての権利内容が異なる複数の種類の株式を発行する制度で、企業は状況に応じて、様々な種類株式を発行することで、柔軟な資金調達や経営戦略を実現できるようになります。