産業のつながりを示すレオンチェフ表
レオンチェフ表とは、ある国全体の経済活動を詳しくまとめた表で、それぞれの産業がどのようにつながり、影響し合っているかを明らかにする分析道具です。この表は、ロシア生まれのアメリカの経済学者、ワシリー・レオンチェフによって作られ、彼の名前が付けられました。別名で産業連関表、投入産出表、またはIO表とも呼ばれ、経済の分析や政策を決める際に広く使われています。
具体的には、この表は、それぞれの産業が他の産業からどれだけの材料やサービスを購入しているか(中間投入)、そして、それぞれの産業が作った製品やサービスが、他の産業や最終需要(家計消費、政府支出、投資、輸出など)にどれだけ供給されているかを、行と列で整理して示しています。まるで、経済活動を写し取った写真のようで、産業間の複雑な取引関係が一目で分かるようになっています。
この表を使うことで、経済全体の状況を掴むだけでなく、それぞれの産業がどのように支え合っているかを理解することができます。例えば、自動車産業が活発になると、鉄鋼産業や部品産業への需要も増えるといった関係が、この表から読み取れます。また、ある特定の産業に変化があった場合、その影響が他の産業や経済全体にどのように広がるかを予測するのにも役立ちます。例えば、原油価格が上がった場合、運輸業や製造業のコストが上がり、それが商品の価格上昇につながるといった連鎖的な影響を分析することができます。
このように、レオンチェフ表は経済の構造を理解し、将来を予測するための重要な道具となっています。政策担当者は、この表を使って、より効果的な経済政策を立案することができ、企業は、自社の事業戦略を立てる際の参考資料として活用することができます。経済学を学ぶ上でも、レオンチェフ表は基本的な知識として重要です。