名目GNP:経済規模の指標
名目国民総生産(名目GNP)は、ある一定期間に国民が国の中でも外でも生産活動を通して得た最終的な財やサービスの価値の合計を、その時点での価格で計算したものです。これは、国の経済規模を測る重要な指標の一つであり、国内総生産(GDP)と並んでよく使われています。
GDPとGNPの違いは、生産活動が行われた場所にあります。GDPは国内で生産された付加価値の合計であり、GNPは国民が生産した付加価値の合計です。具体的に言うと、日本の企業が海外で工場を持ち、そこで物を生産している場合、その生産額は日本のGNPには含まれますが、GDPには含まれません。逆に、外国の企業が日本国内で物を生産している場合、その生産額は日本のGDPには含まれますが、GNPには含まれません。
GNPは海外からの純所得(海外からの所得から海外への所得を引いたもの)を含んでいます。つまり、日本人が海外で働いて得た所得はGNPにプラスされ、外国人が日本で働いて得た所得はGNPからマイナスされます。このため、GNPは国民経済全体の動きを測る指標であり、GDPは国内経済の動きを測る指標と言えます。
名目GNPは、その時点の価格で計算されるため、物価の変動の影響を受けます。物価が上がれば名目GNPも上がり、物価が下がれば名目GNPも下がります。そのため、物価の影響を取り除き、実質的な経済成長を測るためには、実質GNPを用いる必要があります。実質GNPは、基準となる年の価格を用いて計算されるため、物価の変動の影響を受けません。
名目GNPは経済の規模を測る重要な指標ですが、それだけで国の豊かさや人々の生活水準を完全に表すことはできません。例えば、人口の多さや労働時間の長さ、環境への影響などは名目GNPには反映されません。したがって、国の経済状態を総合的に判断するためには、名目GNPだけでなく、他の様々な経済指標や社会指標を併せて見る必要があります。