1株あたり純資産で企業価値を評価
一株あたり純資産(略して一株純資産)とは、会社が持つ純資産を発行済み株式数で割った数値のことです。簡単に言うと、もし会社が解散した場合、株主一人あたりにどれくらいの資産が分配されるかを示す目安です。
では、純資産とは何かというと、会社の全財産から負債(借金など)を差し引いた残りの金額です。これは会社の本当の持ち物であり、会社の財産基盤とも言えます。この純資産を発行済みの株式数で割ることで、一株あたりどれだけの純資産が支えられているか、つまり一株純資産が計算できます。
一株純資産が高いということは、一株あたり多くの資産に支えられていることを意味します。もし会社が解散した場合、株主はより多くの財産を受け取れる可能性が高いため、一般的には有利だと考えられます。しかし、一株純資産はあくまで帳簿上の数値です。会社の資産は、土地や建物など、時価と帳簿上の金額が異なるものも含まれています。そのため、一株純資産が高いからといって、必ずしも会社の本当の価値が高いとは限りません。
また、一株純資産は会社の将来の収益力や成長性を反映していません。将来大きな利益を上げる可能性のある会社は、たとえ一株純資産が低くても、市場では高く評価されることがあります。逆に、一株純資産が高くても、将来性がなければ市場では低く評価されることもあります。
さらに、業種によっても一株純資産は大きく異なります。製造業のように多くの工場や設備を持つ会社は、一般的に一株純資産が高くなる傾向があります。一方、IT企業のように形のない資産(知的財産など)が多い会社は、一株純資産が低くなる傾向があります。そのため、一株純資産を分析する際は、同業他社と比較することが重要です。一株純資産は会社の財務状況を理解する上での一つの指標であり、他の指標と合わせて総合的に判断する必要があることを覚えておきましょう。