市場を動かす買い越しパワー
買い越しとは、ある一定の期間における、市場参加者による売買動向を測る尺度の一つです。具体的には、ある投資家が、例えば一週間や一月、一年といった期間に、株や債券などの資産を買った金額が、売った金額を上回った状態を指します。
例を挙げると、ある投資信託が1ヶ月の間に10億円の株を買い、5億円の株を売却したとします。この場合、買った金額から売った金額を引いた5億円が、その投資信託の買い越し額となります。買い越し額が多いほど、その投資主体がその資産を積極的に買っていることを示しています。反対に、売った金額が買った金額を上回っている場合は、売り越しとなります。
この買い越しという状態は、市場全体の取引に影響を及ぼします。多くの投資家が特定の資産を買い越せば、その資産への需要が高まり、価格が上昇する可能性があります。逆に、多くの投資家が売り越せば、供給過剰となり、価格が下落する可能性があります。つまり、市場の需給バランスを左右する要因の一つと言えるでしょう。
そのため、市場参加者、特に機関投資家やアナリストなどは、様々な投資主体の買い越し状況を常に注視しています。大規模な投資信託や海外の投資家などの買い越しは、市場全体の動向を占う上で重要な指標となるからです。買い越し額の増減は、今後の価格変動を予測する手がかりとなり、投資判断に役立つ情報となります。また、特定の銘柄の買い越し状況は、その企業の将来性や業績に対する市場の評価を反映しているとも言えます。