電子取引基盤で変わる店頭デリバティブ取引
電子取引基盤とは、金融商品を扱う業者などが、相対で取引する店頭デリバティブ取引などを、電子情報処理組織(コンピュータシステム)を使って行うための仕組みです。
具体的には、銀行や証券会社といった金融機関が、顧客との店頭デリバティブ取引を電子的に行うためのシステムを提供する業務を指します。このシステムは、いわばインターネット上の市場のようなもので、売りたい人と買いたい人を結びつけ、取引をスムーズに進める役割を担います。
従来、店頭デリバティブ取引は、電話やファックスなどを用いて行われていました。そのため、取引内容の記録や確認に手間がかかり、取引の透明性や効率性に課題がありました。担当者同士の会話の内容で取引が成立するため、記録が残りにくく、後から取引内容を確認することが難しい場合もありました。また、取引成立までに多くの時間と労力を要し、非効率的でした。
しかし、電子取引基盤の導入によって、これらの課題は大きく改善されました。取引の記録は全て電子的に保存されるため、取引状況の把握が容易になり、透明性が向上します。誰が、いつ、どのような価格で取引したのかが明確になるため、不正が行われるリスクも低減します。また、取引の大部分が自動化されるため、取引にかかる時間と労力が大幅に削減され、効率的な取引が可能となります。例えば、価格や数量を入力するだけで自動的に注文が出せるようになり、取引成立までの時間も短縮されます。
電子取引基盤は、取引コストの削減にも貢献します。従来のように、電話やファックスでのやり取りにかかる通信費や人件費などを削減できるため、より少ない費用で取引を行うことが可能になります。
このように、多くのメリットを持つ電子取引基盤は、市場参加者の拡大も期待されています。これまで、店頭デリバティブ取引は、一部の大手金融機関が中心となって行われていましたが、電子取引基盤の導入により、中小の金融機関や個人投資家も容易に参加できるようになります。
電子取引基盤は、店頭デリバティブ市場の健全な発展に欠かせない重要な要素と言えるでしょう。