経済を世界で考える:開放体系入門
一国の経済活動を世界経済とのつながりのなかで考える枠組み、それが開放体系です。これまでの経済の仕組みを説明する考え方、つまり閉鎖経済モデルでは、国内の経済活動をする家計、企業、政府の間のやり取りだけを分析の対象としていました。しかし、現実の世界では、様々な商品やサービスが国境を越えて取引され、お金も世界中を駆け巡っています。このように、国と国との経済は切っても切れない関係にあるため、国内だけの経済活動だけを見ていては、全体の動きを正しく捉えることはできません。
そこで、世界の経済とのつながりを加味した考え方が必要になり、生まれたのが開放体系です。これは、閉鎖経済モデルに海外との取引の部分を付け加えたもので、国際経済モデルや開放経済モデルとも呼ばれます。具体的には、海外からモノやサービスを輸入したり、逆に海外へ輸出したりする貿易、そして海外からお金を借りたり、海外へ投資したりする資本移動といった活動が分析の対象となります。
開放体系を使う大きな利点は、為替レートの変動や貿易の黒字・赤字、国と国のお金の移動といった国際経済の様々な問題を分析できることです。例えば、ある国の金利が上がると、海外からのお金の流入が増え、その国の通貨の価値が上がります。すると、輸出が減り、輸入が増えるといった影響が出ます。このような国際的なお金の流れや貿易への影響を、開放体系を使って分析することで、世界経済の動きをより深く理解し、適切な経済政策を立てることができます。開放体系は、複雑化する世界経済を読み解くための重要な道具と言えるでしょう。