金融モデル

記事数:(2)

分析

株価変動の予測:幾何ブラウン運動

お金を株式に投じるということは、将来その価値がどう変わるかを考えることがとても大切です。けれども、実際の市場は複雑で、いろいろなことが重なり合って株価が上がったり下がったりします。そのため、これからどうなるかを完全に当てることはできません。それでも、株価の動きをある程度知るための計算のやり方はあります。その一つが、幾何ブラウン運動と呼ばれるものです。幾何ブラウン運動は、株価の動きを確率的、つまり偶然に左右されるものとして考え、将来の株価がどのあたりで動くかを予想するために使われます。 幾何ブラウン運動は、花粉が水の中で不規則に動く様子を説明するために考案された理論で、後に株価の動きにも応用されるようになりました。この考え方では、株価は常に小さな変動を繰り返しており、その変動はランダムで予測不可能なものと考えます。まるで、サイコロを振って出た目で株価が上下するようにです。しかし、完全にでたらめではなく、過去のデータに基づいて、株価の変動の大きさ(ボラティリティ)や平均的な上昇率(ドリフト)といった傾向を把握することができます。これらの情報を使うことで、将来の株価がどのくらいの範囲で動くのかを確率的に推定することができるのです。 幾何ブラウン運動を使った予測は、株価の動きを完全に捉えるものではありません。予想外の出来事や市場の心理といった計算に入らない要素も株価に影響を与えます。また、株価の変動の激しさも一定ではなく、変化することもあります。そのため、幾何ブラウン運動で得られた予測は、あくまでも目安として捉えるべきです。しかし、将来の株価の動きに関するある程度の情報を得ることができるため、損失を抑える工夫や、投資の計画を立てる上で役立ちます。幾何ブラウン運動は、完璧な予測は不可能な株式市場において、より確かな判断をするための助けとなる重要な道具なのです。
分析

ドリフト項で進化する一般化ウィーナー過程

水に浮かべた小さな花粉が、まるで意思を持っているかのように不規則に動き回る様子を思い浮かべてみてください。この予測不能な動きは、ブラウン運動と呼ばれ、それを数学的に表現したものがウィーナー過程です。ウィーナー過程は、ブラウン運動と同じように、次の瞬間にどちらの方向へ、どのくらい動くのか全く予測できません。まるでサイコロを振って進む方向を決めているかのようです。過去の動きをいくら観察しても、未来の動きを言い当てることは不可能です。 しかし、ウィーナー過程の動きは全くの無秩序というわけではありません。一見でたらめな動きに見えても、一定の時間が経つと、どのくらいの範囲で変動しているか統計的に示すことができます。この変動の大きさを表すのが分散です。そして、ウィーナー過程の分散は、時間の経過とともに大きくなります。観察する時間が長くなるほど、花粉の動き回る範囲が広がる様子と似ています。 ウィーナー過程は、このランダムな動きを捉える基本的な数理モデルとして、様々な分野で活用されています。例えば、花粉の動きだけでなく、株価の変動や、熱の伝わり方など、自然現象や社会現象を理解するために役立っています。一見予測不能な現象の裏に潜む法則を解き明かすための、強力な道具と言えるでしょう。