資産評価調整額

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年金

資産評価調整額とは何か?

資産評価調整額とは、年金などの財政計算を行う際に、資産の実際の時価と、計算に用いる評価額との差額のことです。この差額を調整することで、より実態に即した財政状態を把握することができます。 財政計算、特に年金財政においては、将来の年金給付額を支払えるだけの資産があるかを確認する必要があります。この確認作業のためには、保有資産の価値を正しく評価することが不可欠です。しかし、資産の評価方法は一つではなく、時価で評価する方法と、数理計算に基づいて評価する方法など、複数の方法が存在します。 時価とは、市場で実際に取引されている価格のことです。株式や債券など、市場で活発に取引されている資産については、時価を容易に把握することができます。一方、土地や建物などの固定資産は、市場での取引が頻繁に行われないため、時価の把握が難しい場合があります。このような場合、数理計算に基づいて評価額を算出することがあります。数理計算とは、将来の収益や費用などを予測し、現在の価値に割り引くことで評価額を算出する方法です。 時価と数理計算による評価額には、差が生じることがあります。例えば、土地の価格は、景気の動向や周辺地域の開発状況などによって変動します。そのため、数理計算で算出した評価額が、現在の時価を正確に反映していない可能性があります。このような場合、資産評価調整額を用いて、数理計算による評価額と時価の差額を調整します。 資産評価調整額は、主に年金財政の健全性を評価するために用いられます。年金財政の健全性は、将来の年金給付を支払うために十分な資産が確保されているかどうかに大きく依存します。そのため、資産の評価額を適切に調整することで、より正確な年金財政の健全性評価を行うことができます。企業年金制度などにおいて、将来の年金給付の支払いに必要な資産の額を正確に見積もる際に、資産評価調整額は重要な要素となります。
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企業年金継続の要 責任準備金と継続基準

継続基準とは、会社が将来もずっと事業を続けていくという前提で、年金制度のお金の健全さをチェックするための大切な基準です。会社は、そこで働く人たちに将来きちんと年金を支払うため、継続基準に基づいて毎年お金のチェックをしなければなりません。 このチェックでは、将来の年金支払いに必要な金額(責任準備金)を計算し、実際に持っている資産(純資産額)と比較します。この比較によって、将来の年金支払いに必要なだけのお金を持っているかを調べます。もし持っているお金が足りない場合は、その足りない分を埋めるための対策を考え、実行に移す必要があります。 責任準備金を計算するには、将来の年金受給者数や平均寿命、予想される給料の伸び率など、様々な要素を考慮します。これらの要素は、社会情勢や経済状況の変化によって大きく変わる可能性があります。そのため、会社は定期的にこれらの要素を見直し、責任準備金の計算に反映させる必要があります。 純資産額は、会社が年金のために持っているお金や株、債券などの資産の合計額です。これらの資産は、市場の変動によって増減するため、純資産額も変動します。 継続基準のチェックで資産が不足しているとわかった場合、会社は様々な対策を講じる必要があります。例えば、会社が年金制度に拠出するお金を増やす、年金の給付額を減らす、資産運用の方法を見直すなどです。これらの対策は、会社の経営状況や年金制度の状況などを考慮して、慎重に決定する必要があります。 継続基準は、年金制度を長期的に安定させ、そこで働く人たちの老後の生活を守る上で大切な役割を果たしています。会社は継続基準に基づいたチェックをきちんと行い、年金制度の健全性を保つように努める必要があります。