貸出

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経済知識

貸倒引当金:銀行の備え

お金を貸す仕事をしている銀行にとって、貸したお金が返ってこない、いわゆる貸し倒れのリスクは常に付きまといます。これを貸倒リスクと言います。将来、この貸倒リスクが現実のものとなった際に備えて、銀行はあらかじめ費用を積み立てておく必要があります。これが貸倒引当金です。 企業がお金を借りる理由は様々です。新しい事業を始めるため、設備投資を行うため、あるいは運転資金を確保するためなどです。しかし、どんなに計画的に資金を借り入れたとしても、必ずしも事業が成功するとは限りません。景気が悪化したり、業界全体の需要が縮小したり、あるいは経営判断のミスなど、様々な要因によって企業の業績は悪化することがあります。そうなると、借りたお金を返済することが難しくなり、貸し倒れが発生する可能性が高まります。個人も同様で、病気や失業など、予期せぬ出来事で返済が困難になる場合があります。 このような事態に備え、銀行は貸倒引当金を積み立てておくことで、万が一貸し倒れが発生した場合でも、経営への影響を最小限に抑えることができます。いわば、将来の損失に対する備えのようなものです。この備えがあることで、銀行は安定した経営を続けることができ、預金者からの信頼を守ることができます。 また、貸倒引当金の額は、銀行の融資の質やリスク管理能力を評価する上でも重要な指標となります。多額の貸倒引当金を積み立てている銀行は、それだけ貸し倒れのリスクが高い融資を行っている、あるいはリスク管理が適切に行われていない可能性があると見なされます。逆に、適切な額の貸倒引当金を積み立てている銀行は、健全な経営を行っていると判断されます。つまり、貸倒引当金は、銀行の経営状態を映す鏡のような役割も担っているのです。
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与信業務:企業の成長を支える信用供与

お金の貸し借りや、商品の後払いを認めるかどうかを判断する業務を与信業務と言います。これは、相手が将来きちんと支払える能力があるかを評価し、信用を与えるかどうかの判断を行うことです。企業が事業を円滑に進める上で、この与信業務は極めて重要な役割を担っています。 与信業務は、取引先との信頼関係を築くための土台となります。安心して取引を進めることができるため、安定した事業運営につながります。また、お金を貸したり、商品の後払いを認めることで、相手方の資金繰りや販売促進を支援することにもなります。企業は、こうした与信を通じて、自社の事業活動も活発化させることができるのです。 しかし、与信にはリスクが潜んでいます。もし取引先が支払えなくなれば、貸したお金や売った商品の代金が回収できず、損失を被る可能性があります。そのため、与信の判断は慎重に行う必要があります。取引先の財務状況、事業の安定性、業界の動向など、様々な情報を集めて総合的に判断しなければなりません。過去の取引履歴や経営者の手腕なども、判断材料として重要です。与信担当者は、専門的な知識と豊富な経験に基づいて、適切な判断を下すことが求められます。将来の返済能力を正確に見積もるためには、高度な分析能力も必要です。 与信業務は、単なるお金のやり取りに留まりません。企業の成長を支え、ひいては経済全体の発展にも貢献する重要な役割を担っています。与信判断の巧拙は、企業の経営成績を大きく左右すると言っても過言ではありません。