財務会計

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経営

非設置型監視:健全性確保の新たな手法

金融商品を扱う業者(証券会社や投資運用会社など)の経営状態が健全かどうかを常に確かめる活動のことを、非設置型監視と言います。検査官が実際に業者へ出向いて行う従来のやり方(オンサイト検査)とは異なり、業者から定期的に提出される財務やリスクに関する情報などを分析することで、業者の財務状況やリスクへの対応状況を常に把握します。これは、金融市場の環境が複雑になり、世界規模での取引が増え、技術も進歩している中で、金融商品を扱う業者の仕事内容も多様化、複雑化しているという現状に対応するために考えられました。より効率良く、かつ効果的な監視方法として、その重要性が増しています。 具体的には、提出された財務諸表やリスク管理報告書などを用いて、業者の自己資本比率や流動性比率といった財務の健全性を示す指標をチェックします。また、市場リスクや信用リスク、オペレーショナルリスクといった様々なリスクへの対応状況も確認します。さらに、市場全体の動向や他の業者との比較分析も行い、潜在的な問題点を早期に発見することを目指します。 特に、近年注目されている金融の新しい技術や、金融と情報技術を組み合わせた新しい企業の出現は、これまでになかったリスクを生み出す可能性も持っています。こうした新たなリスクへの対応も、非設置型監視の重要な役割です。絶えず変化する金融市場において、非設置型監視は、投資家保護と金融システムの安定のために欠かせないものとなっています。非設置型監視によって、問題のある業者を早期に発見し、適切な対応をすることで、大きな問題に発展するのを防ぎ、金融市場全体の信頼性を守ることができます。
経済知識

貸倒引当金:銀行の備え

お金を貸す仕事をしている銀行にとって、貸したお金が返ってこない、いわゆる貸し倒れのリスクは常に付きまといます。これを貸倒リスクと言います。将来、この貸倒リスクが現実のものとなった際に備えて、銀行はあらかじめ費用を積み立てておく必要があります。これが貸倒引当金です。 企業がお金を借りる理由は様々です。新しい事業を始めるため、設備投資を行うため、あるいは運転資金を確保するためなどです。しかし、どんなに計画的に資金を借り入れたとしても、必ずしも事業が成功するとは限りません。景気が悪化したり、業界全体の需要が縮小したり、あるいは経営判断のミスなど、様々な要因によって企業の業績は悪化することがあります。そうなると、借りたお金を返済することが難しくなり、貸し倒れが発生する可能性が高まります。個人も同様で、病気や失業など、予期せぬ出来事で返済が困難になる場合があります。 このような事態に備え、銀行は貸倒引当金を積み立てておくことで、万が一貸し倒れが発生した場合でも、経営への影響を最小限に抑えることができます。いわば、将来の損失に対する備えのようなものです。この備えがあることで、銀行は安定した経営を続けることができ、預金者からの信頼を守ることができます。 また、貸倒引当金の額は、銀行の融資の質やリスク管理能力を評価する上でも重要な指標となります。多額の貸倒引当金を積み立てている銀行は、それだけ貸し倒れのリスクが高い融資を行っている、あるいはリスク管理が適切に行われていない可能性があると見なされます。逆に、適切な額の貸倒引当金を積み立てている銀行は、健全な経営を行っていると判断されます。つまり、貸倒引当金は、銀行の経営状態を映す鏡のような役割も担っているのです。
経営

元利均等償却とは?仕組みとメリット・デメリット

お金を借りた時、返す方法にはいくつか種類があります。その中で、元利均等償却は、毎回同じ金額を返す方法です。住宅ローンや車のローンでよく使われています。 たとえば、1000万円を10年で借りたとします。元利均等償却では、毎月決まった金額を返していきます。この金額には、借りたお金の元金と、そのお金を使うためにかかる利息が含まれています。 返済の最初の頃は、利息の割合が多く、元金の割合は少なくなっています。これは、まだ借りているお金がたくさん残っているため、利息が多く発生するからです。ですので、最初のうちはなかなか借金が減っているように感じられないかもしれません。 しかし、返済が進むにつれて、利息の割合が徐々に減り、元金の割合が増えていきます。これは、残りの借金が減っていくため、発生する利息も少なくなっていくからです。つまり、後になるほど、支払ったお金の大部分が元金の返済にあてられるようになり、借金は早く減っていきます。 元利均等償却の最大の利点は、毎月の返済額が一定であることです。そのため、家計の管理がしやすく、将来の返済計画も立てやすくなります。収入が安定している人に向いている方法と言えます。 ただし、最初のうちは利息の支払いが多いため、総返済額は他の返済方法と比べて多くなる可能性があります。返済期間が長いほど、この傾向は強くなります。ですので、借入の際には、他の返済方法と比較検討し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。