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法律

特定投資家という存在

『特定投資家』とは、金融商品取引法で定められた、いわば投資のプロフェッショナルのことです。彼らは、高い金融知識や豊富な投資経験、そして一定以上の財産を持っていると認められています。一般の投資家と比べて、市場の危険性や金融商品の仕組みをよく理解していると判断されるため、金融商品取引業者などによる規制の一部が適用されません。自分自身の判断でリスクをうまく管理できると考えられているからです。 具体的には、どのような人が特定投資家に該当するのでしょうか。まず、銀行、証券会社、信託銀行などの金融機関、年金基金、保険会社といった、『適格機関投資家』と呼ばれる、資金運用を主な業務とする組織が挙げられます。彼らは巨額の資金を運用しており、専門の担当者も抱えているため、高い投資能力を持っていると認められています。 また、一定の基準を満たす会社や個人も、特定投資家となることができます。会社の場合、純資産額や従業員数などが基準となり、個人であれば、金融資産額や投資経験年数などが考慮されます。つまり、豊富な資金力や投資経験を持つ会社や個人も、投資のプロとして認められるのです。 特定投資家には、規制緩和というメリットがあります。例えば、一般の投資家向けには、金融商品取引業者によるリスク説明などが義務付けられていますが、特定投資家にはこれらの説明が省略される場合があります。これは、特定投資家が既にリスクを十分に理解しているという前提に基づいています。ただし、規制緩和の反面、自己責任の度合いも高まることを忘れてはなりません。市場の変動によって大きな損失を被る可能性も十分にあるため、高い金融リテラシーとリスク管理能力が求められます。