経済状況

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不景気とは?その仕組みと対策

不景気とは、経済活動の活気がなくなり、停滞した状態を指します。私たちの暮らしに身近なモノやサービスの売れ行きが悪くなり、企業のもうけも減ってしまいます。人々の収入も減少し、生活に不安が生じることもあるでしょう。こうした状況は、経済が後退している状態とも言えます。 不景気をはかる尺度として、国内全体の生産活動の規模を示す指標である国内総生産(GDP)がよく用いられます。GDPが一定期間続けて減少した場合、一般的には不景気とみなされます。どのくらいの期間、減少が続くと不景気と判断するかは、国や機関によって多少の違いがあります。 経済は、好況と不況を繰り返しながら成長していくという性質を持っています。これは、季節の移り変わりと同じように、経済にも周期的な変動があるからです。不景気は、この経済の循環の一部であり、永遠に続くものではありません。しかし、不景気の深刻さや続く期間は、そのきっかけや国の経済の仕組み、政府の対策などによって大きく左右されます。世界規模で不景気が起こると、国と国との貿易やお金の流れを通して、様々な国の経済に大きな影響を及ぼす可能性があります。 多くの場合、不景気は一時的な現象で終わりを迎えます。しかし、もし不景気が長く続き、深刻化すると、社会全体に大きな問題を引き起こす可能性があります。例えば、失業者の増加や企業の倒産などです。そのため、不景気の兆候をいち早く見つけ、適切な対策をとることが非常に大切です。政府は、景気を刺激するための政策を実施したり、企業は新しい事業を始めたり、個人は無駄な支出を抑えたりすることで、不景気の悪影響を少しでも和らげることができるでしょう。
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外貨預金と難しい経済状況

経済の停滞と物価上昇という、一見矛盾する現象が同時に起こることをスタグフレーションと言います。通常、景気が良い時は需要が高まり物価も上がりますが、景気が悪い時は需要が冷え込み物価は安定するか下がります。ところが、スタグフレーションはこの常識とは反対の動きを見せるため、対策が難しく厄介な経済現象なのです。 スタグフレーションでは、景気が低迷し経済成長が鈍化しているにも関わらず、物価は上昇し続けます。これは家計にとって大きな負担となります。収入が増えないどころか減る可能性もある中で、生活必需品などの値段が上がれば、生活は苦しくなり消費を控えるようになります。消費の減少は経済活動をさらに停滞させる要因となります。 企業もまた、スタグフレーションの悪影響を受けます。景気の低迷で売上が減少する一方、物価上昇で原材料費や人件費などのコストが増加します。売上減少とコスト増加という板挟みの状態に陥り、新たな設備投資や事業拡大を控えるようになります。企業活動の停滞は、経済全体の縮小につながり、失業率の増加といった深刻な問題を引き起こす可能性があります。 スタグフレーション下では、従来の経済対策の効果が薄れることが問題をさらに複雑化させます。例えば、景気を刺激するために金融緩和策を実施すると、物価上昇を加速させる可能性があります。逆に、物価上昇を抑えるために金融引き締め策をとると、景気後退を悪化させるリスクがあります。政府や中央銀行は効果的な対策を見つけることに苦労し、対応の遅れは経済状況をさらに悪化させる恐れがあります。 スタグフレーションは過去にも発生しています。1970年代のオイルショックが良い例です。原油価格の高騰をきっかけに世界的にスタグフレーションが発生し、深刻な経済危機に陥りました。歴史から学ぶことは重要であり、将来もスタグフレーションが起こる可能性を常に念頭に置き、経済状況の変化に注意を払う必要があります。
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貸し剥がし:その実態と影響

お金を貸す金融機関が、借り手である企業にお金を貸すのを急に減らしたり、やめてしまうことを貸し剥がしと言います。貸し剥がしは、企業にとって、まるで生命線を断ち切られるような深刻な事態です。 貸し剥がしが起こる理由はいくつかあります。まず、お金を借りている企業の業績が悪化し、返済能力に疑問が生じた場合です。赤字が続き、会社の資産も減っているような状態では、金融機関は貸したお金が返ってこないのではないかと心配になり、融資を渋るようになります。次に、企業の財務状態が不安定になった場合です。会社の借金が大きく膨らんでいたり、資金繰りが苦しくなっている場合も、金融機関は危険信号を感じ取ります。返済の目処が立たないと判断されれば、貸し剥がしに繋がります。 金融機関自身の経営状態が悪化した場合も、貸し剥がしが行われることがあります。金融機関は、自分たちが安全に経営を続けるために、リスクの高い融資を避けようとするからです。 貸し剥がしの影響は甚大です。企業は事業を続けるためのお金が得られなくなり、設備投資や新たな事業展開ができなくなります。社員の給料を払うのも難しくなり、最悪の場合、倒産に追い込まれることもあります。 貸し剥がしの影響は、その企業だけにとどまりません。取引先企業への支払いが滞れば、その企業も資金繰りが悪化し、連鎖的に倒産が広がる恐れがあります。経済全体が冷え込み、不況に陥る可能性も否定できません。 このような事態を避けるためには、企業は健全な財務体質を維持し、金融機関との良好な関係を築くことが大切です。また、日頃から資金繰りに余裕を持たせ、不測の事態に備えることも重要です。金融機関も、融資先の状況を慎重に見極め、責任ある対応を心がける必要があります。