過少雇用:潜在力を活かしきれない現状
働き口を探している、あるいはもっと働きたいと考えているにも関わらず、その望みに合った仕事に就けていない状態を、私たちは『過少雇用』と呼びます。これは、働く意欲と能力を十分に発揮できない状況であり、個人にとっても社会にとっても望ましい状態ではありません。
過少雇用には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、働く時間が短い『時間的な過少雇用』です。例えば、生活のためにフルタイムで働きたいと考えているにも関わらず、パートタイムの仕事しか見つからない場合などがこれに当たります。短い労働時間では収入も限られるため、生活は不安定になりやすく、将来への展望も描きにくくなってしまいます。もう一つは、仕事の内容が能力に見合っていない『能力の過少雇用』です。高い技術や豊富な経験を持っているにも関わらず、それらを活かせない単純作業や低賃金の仕事に就いている状態です。このような状態では、せっかくの能力が活かされず、個人の成長も阻害されてしまいます。また、労働者自身のモチベーション(やる気)の低下にも繋がりやすく、仕事への意欲を失ってしまう可能性も懸念されます。
過少雇用は、個人の経済的な不安定さを招くだけでなく、社会全体の生産性を低下させる大きな要因となります。人々の能力が最大限に活かされていない状態は、社会全体の損失と言えるでしょう。活かされていない能力は、新しい商品やサービスの開発、技術革新などを生み出す源泉となり得るからです。また、過少雇用が蔓延すると、人々の消費活動も停滞し、経済の縮小に繋がることも考えられます。
完全雇用とは、働く意欲のある人が全て、適切な仕事に就いている状態です。過少雇用は、この完全雇用とは真逆の状態であり、経済の健全な発展を阻害する深刻な問題として、私たちは真剣に考え、対策を講じる必要があります。