経済学派

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経済知識

市場の調和:一般均衡学派入門

経済学の世界には、様々な考え方をするグループ、いわば流派が存在します。その中で、市場全体を大きな絵のように捉えようとする一派が生まれました。これが一般均衡学派です。この学派は、19世紀後半にスイスのローザンヌ大学で誕生し、フランスの経済学者、レオン・ワルラスによって立ち上げられました。そのため、ローザンヌ学派とも呼ばれています。 ワルラス以前の経済学は、個々の市場、例えば、米の市場や魚の市場といった一つ一つの市場を別々に見ていました。しかしワルラスは、これらの市場がバラバラに存在しているのではなく、互いに影響し合いながら全体として動いていると考えました。米の値段が上がれば、代わりにパンの需要が増えるといった具合です。 ワルラスは数学を使って、この複雑な市場の繋がりを解き明かそうとしました。全部の市場がバランスを取り、落ち着いた状態、つまり均衡状態になるには、どのような条件が必要なのかを数式で表そうとしたのです。これは、当時の経済学ではとても斬新な手法でした。 ワルラスの研究は、物を作る、使う、分け合うといった経済活動全体を理解しようとするものでした。個々の市場を見るだけでなく、経済全体を一つのシステムとして捉えることで、市場メカニズムの全体像を把握しようと試みたのです。 ワルラスは数学を道具として経済学をより科学的なものへと発展させました。複雑な経済現象を分析するための強力な手段を提供したのです。この一般均衡学派の誕生は、経済学の進歩において歴史的な転換点となりました。後の経済学者たちに大きな影響を与え、現代経済学の基礎を築く重要な役割を果たしたのです。