相関係数

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指標

共分散と投資判断

二つのものの値動きが、どの程度似通っているのかを示す指標に、共分散というものがあります。共分散を使うことで、例えば、A社の株価とB社の株価が共に上がりやすいのか、それとも一方が上がるともう一方が下がりやすいのか、または、二つの株価の動きに関連性がないのかを知ることができます。具体的には、それぞれの株価の上がり下がりの度合い、つまり収益率を過去のデータから計算し、その平均値からのずれを調べます。 例えば、A社の株価が平均よりも大きく上がった日と、B社の株価も平均よりも大きく上がった日があるとします。この二つのずれを掛け合わせると、正の値が得られます。逆に、A社の株価が大きく上がったのに、B社の株価が大きく下がった日があるとします。この場合、二つのずれを掛け合わせると、負の値になります。A社の株価が平均からあまり動かなかった日と、B社の株価も平均からあまり動かなかった日は、ずれがどちらも小さいため、掛け合わせても小さな値になります。 このようにして、毎日、二つの株価の平均からのずれを掛け合わせた値を計算し、その平均値を求めたものが共分散です。共分散の値が正の場合、二つの株価は同じ方向に動く傾向、つまり、一方が上がればもう一方も上がりやすく、一方が下がればもう一方も下がりやすい傾向があると言えます。逆に、共分散が負の場合は、二つの株価は逆方向に動く傾向、つまり、一方が上がればもう一方は下がりやすく、一方が下がればもう一方は上がりやすい傾向があると言えます。共分散がゼロに近い場合は、二つの株価の間に特別な関係はないと考えられます。つまり、一方が上がっても下がっても、もう一方の株価への影響はあまりないと考えられます。
分析

分散投資と相関関係:リスクを抑えて資産を増やす

投資の世界には、「卵は一つの籠に盛るな」という昔から伝わる教えがあります。これは、危険を少なくするために、財産をいくつかに分けて投資することの大切さを示した言葉です。一つの籠に全ての卵を入れてしまうと、籠を落とした時に全ての卵が割れてしまいます。これと同じように、投資も一つのものに集中してしまうと、その投資先がうまくいかなくなった場合、大きな損失を被る可能性があります。 分散投資とは、まさにこの教えを実践する投資方法です。株、債券、不動産など、様々な種類の財産に資金を分けて投資します。株の価格が下がっても、債券の価格が上がっていれば、全体の損失を小さく抑えることができます。まるで綱渡りでバランスを取るように、複数の投資先を組み合わせることで、投資全体の安定性を高めることができるのです。 さらに、投資先を種類だけでなく、地域や会社も分散させることも重要です。世界の情勢や景気の変化は予想するのが難しいものです。特定の国や会社に集中して投資してしまうと、思いがけない出来事で大きな損失を被るかもしれません。例えば、ある国で大きな災害が起きたり、特定の会社で不正が発覚したりすると、その国や会社の株価は大きく下落する可能性があります。分散投資は、このような予想外の出来事から財産を守るための備えと言えるでしょう。 卵を複数の籠に分けるように、財産を様々な投資先に分散することで、一つの投資先の失敗が全体に及ぼす影響を小さくすることができます。また、長期的に安定した利益を得る可能性を高めることにも繋がります。分散投資は、決して難しいものではありません。様々な投資信託を利用することで、手軽に分散投資を行うことができます。将来の安心のために、分散投資の考え方を理解し、実践していくことが大切です。