物価上昇の仕組み:費用増加型
費用増加型インフレとは、モノやサービスを作るのにかかるお金が増えることで、値段が上がる現象です。企業は、材料費や人件費、燃料費など、様々な費用を支払って商品を生産しています。これらの費用が何らかの理由で上がると、企業は利益を確保するために商品の値段を上げざるを得なくなります。これが費用増加型インフレです。
このインフレは、人々の購買意欲が高まってモノの値段が上がる需要引寄型インフレとは異なり、供給側の問題で発生します。つまり、モノの値段が上がっているにも関わらず、人々の需要が増えているわけではないのです。例えば、世界的な天候不順で原材料の収穫量が減ったり、産油国間の争いで原油価格が高騰したりすると、企業の生産コストが上がります。また、人手不足で人件費が上がったり、環境規制の強化で設備投資が必要になったりする場合も、費用増加につながります。
費用増加型インフレは、経済全体の生産性が向上していないのに値段だけが上がるため、私たちの生活に大きな影響を与えます。給料が変わらなくても、商品の値段が上がれば、実質的に使えるお金は減ってしまいます。つまり、同じ量のモノを買うためには、より多くのお金を支払わなければならないということです。これは、私たちの生活水準の低下につながる可能性があります。また、企業は費用増加分を商品価格に転嫁しようとしますが、価格転嫁がうまくいかないと、企業の利益が減り、設備投資や雇用を控える可能性があります。これは、経済の停滞につながる恐れがあります。このように費用増加型インフレは、経済全体に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。