現金主義

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経済知識

現金主義会計:基礎と現状

現金主義会計とは、実際に現金のやり取りがあった時点でお金の動きを帳簿に記録する方法です。簡単に言うと、お金が入ってきた時が収益、出て行った時が費用として扱われます。 例えば、お店で商品を売って、お客さんから代金を受け取ったとします。現金主義会計では、このお金を受け取った時点で収益として計上します。逆に、仕入れのために問屋にお金を支払った場合は、支払った時点で費用として計上します。 この会計方法の大きな特徴は、分かりやすさです。現金の出入りという目に見えるお金の流れをそのまま記録するので、帳簿の内容を理解しやすく、特に会計の知識がそれほど深くない人でも比較的簡単に管理できます。また、常に手元にある現金の残高を把握しやすいという利点もあります。 そのため、取引の数が少なかったり、現金での取引がほとんどであるような小規模な事業者や個人事業主に向いています。例えば、八百屋さんやパン屋さんなど、毎日のお客さんとのやり取りが現金ベースで行われているような場合に適しています。 ただし、現金主義会計は将来の収入や支出を反映しないため、長期的な経営計画を立てる上では不十分な場合があります。例えば、商品を売ったものの代金がまだ支払われていない場合、現金は手元になくても将来入ってくることが確実な売掛金があります。しかし、現金主義会計ではこの売掛金は収益として計上されません。同様に、すでに商品やサービスを受け取っているにも関わらず、まだ代金を支払っていない買掛金についても、費用として計上されません。 このように、現金主義会計は短期的な現金の流れを把握するのには便利ですが、事業の全体像を把握するには不向きな面もあります。そのため、事業の規模が大きくなってきたり、取引が複雑になってきた場合には、発生主義会計という、取引が発生した時点でお金の動きを記録する方法への移行を検討する必要があります。