準備預金

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経済知識

銀行と法定準備預金:金融システムの安定装置

銀行はお客様から預かったお金を企業や個人に貸し出し、経済活動を支える役割を担っています。しかし、預かったお金をすべて貸し出してしまうと、預金者がお金を引き出したい時に対応できなくなるかもしれません。これを防ぐ仕組みの一つが、法定準備預金制度です。 この制度では、銀行は預金の一定割合を日本銀行に預け入れることが法律で義務付けられています。この預け入れるお金が法定準備預金と呼ばれ、銀行経営の健全性や金融システム全体の安定に大きな役割を果たしています。 法定準備預金は、銀行の安全弁と言えるでしょう。もし、多くの預金者が一斉にお金を引き出そうとしても、銀行は日本銀行に預けている法定準備預金を使って対応できます。これにより、銀行の破綻を防ぎ、預金者の不安を取り除く効果があります。銀行が安心して事業を続けられるよう支えると共に、預金者も安心して銀行にお金を預けることができる、まさに信頼の土台と言えるでしょう。 さらに、法定準備預金は金融市場全体の調整役も担っています。日本銀行は、景気の状況に応じて法定準備預金の割合を変更することで、市場に出回るお金の量を調整できます。景気が過熱している時には割合を増やし、景気が冷え込んでいる時には割合を減らすことで、物価の急激な変動を抑え、安定した経済運営に貢献しています。 このように、法定準備預金は一見すると銀行にとって負担のように思えるかもしれませんが、預金者保護や金融システムの安定という重要な役割を担っているのです。私たちが安心して経済活動を行えるのも、この制度のおかげと言えるでしょう。
経済知識

FFレートの基礎知識

連邦準備制度(FRB)が発表している政策金利の目安となるものに、FFレートというものがあります。これは、フェデラル・ファンド・レートの和訳で、アメリカ国内の銀行同士が、ごく短期の資金を貸し借りする際の金利のことを指します。 アメリカでは、銀行は預かったお金のうち、一定の割合を連邦準備銀行に預けなければなりません。これは預金準備率と呼ばれる決まりによって定められています。この連邦準備銀行に預け入れるお金のことを準備預金と言います。銀行では毎日多くのお金の出し入れが行われるため、この準備預金の残高も日々変動します。もしも、営業日中に準備預金が不足してしまうと、銀行は翌営業日までに不足分を必ず補わなければなりません。 そこで、準備預金に余裕のある銀行から、準備預金が不足している銀行へ、翌日返済を条件とした短期の資金の貸し借りが行われます。この取引で使われる短期資金の貸借金利がFFレートです。FFレートは、銀行間で資金がどれくらい不足しているか、あるいはどれくらい余っているかといった、需給関係によって毎日変動します。 このFFレートは、市場における金利の目安となる重要な指標です。さらに、FRBは政策金利を操作することで、このFFレートをある程度の範囲内に収まるように誘導しています。つまり、FFレートはFRBの金融政策の手段として使われているのです。FFレートを上げることで銀行がお金を借りる際のコストが増え、お金の流れが抑制されます。反対に、FFレートを下げれば銀行がお金を借りやすくなり、お金の流れが活発になります。このように、FFレートはアメリカの金融政策において非常に重要な役割を担っています。