外貨預金の本国投資法:還流促進策
アメリカの大きな会社は、世界中に子会社を持っています。これらの子会社が海外で稼いだお金は、そのまま海外に置いておくことが多かったのです。なぜなら、アメリカ国内にお金を送り返すと、高い税金を払わなければならなかったからです。アメリカの法人税の高さは、世界的に見ても突出していました。もし海外で稼いだお金をアメリカに送金すれば、高い税率が適用され、手元に残るお金が少なくなってしまうというわけです。
このため、企業は海外で稼いだお金をアメリカに送り返す代わりに、海外での投資や他の会社の買収などに充てることが多くなりました。海外ではお金を使っても、アメリカ国内にはなかなかお金が回ってこない。こんな状態が続いていました。
アメリカ政府はこの状況を深刻に捉えていました。国内の経済を活性化し、雇用を増やすためには、企業がアメリカ国内にお金を使ってくれることが重要です。しかし、高い法人税が壁になっていました。そこで、企業が海外に留保しているお金をアメリカ国内に投資するように促すための、新しい仕組みが必要になりました。
試行錯誤の末、2005年に導入されたのが「外貨預金の本国投資法」です。この法律は、一定の条件を満たせば、海外からのお金の送金にかかる税金を軽減するというものです。この制度によって、企業は海外に留保していたお金をアメリカ国内に投資しやすくなりました。そして、国内の経済活性化を後押しすることが期待されました。