EEC:ヨーロッパ統合の礎
第二次世界大戦の痛手から立ち直ろうとするヨーロッパにおいて、平和と繁栄への強い願いを胸に、ヨーロッパ経済共同体(EEC)が設立されました。戦争の傷跡が生々しい時代、人々の心に深く刻まれていたのは、二度と悲劇を繰り返してはならないという強い決意でした。この共同体は、経済の結びつきを通して、国と国との間の溝を埋め、新たな紛争の芽を摘むという画期的な構想の下に誕生したのです。
1957年3月25日、ローマという歴史的な都市で、ローマ条約が調印されました。この条約は、ヨーロッパ共同体の誕生を告げる重要な宣言となり、人々に未来への希望の光を与えました。そして、翌年の1958年1月1日、共同体は正式に産声を上げました。これは、単なる経済的な協力関係の始まりではありませんでした。ヨーロッパの国々が手を取り合い、共通の未来へ向かって共に歩み始めるという、歴史的な一歩だったのです。
加盟国は、経済的な結びつきを強め、人、物、サービス、資金が国境を越えて自由に動くことのできる共通市場を作ろうとしました。これにより、域内経済の活性化と成長を目指したのです。これは、戦争によって分断されていたヨーロッパが、再び一つになろうとする象徴的な出来事でした。そして、この共同体は、後のヨーロッパ連合(EU)へと発展していくための重要な土台となったのです。