加入年齢方式:年金財政の仕組み
加入年齢方式とは、年金制度の運営方法の一つで、将来受け取る年金の額と、現役時代に支払う掛金のバランスを調整する仕組みです。
具体的には、ある特定の年齢(標準年齢)で加入した人を基準として、掛金と給付のバランスを取ります。まず、標準年齢で加入した人が将来受け取る年金の総額を予測し、それと同額になるように、現役時代に支払う掛金の総額を計算します。そして、その計算結果に基づいて、掛金の割合(標準掛金率)を決定します。
この標準掛金率は、標準年齢以外で加入した人にも同じように適用されます。例えば、標準年齢よりも若い年齢で加入した人は、標準年齢で加入した人と比べて、年金を受け取る期間が長くなります。そのため、同じ掛金率でも、受け取る年金の総額は多くなります。標準年齢が30歳で、月々の掛金が1万円だとします。20歳で加入したAさんと、30歳で加入したBさんがいた場合、AさんはBさんよりも10年間長く掛金を支払うことになりますが、年金を受け取る期間もBさんより10年間長くなります。結果として、支払う掛金の総額はAさんが多くなりますが、受け取る年金の総額もAさんのほうが多いことになります。
反対に、標準年齢よりも高い年齢で加入した人は、年金を受け取る期間が短くなります。そのため、同じ掛金率でも、受け取る年金の総額は少なくなります。40歳で加入したCさんは、標準年齢の30歳で加入したBさんよりも年金を受け取る期間が短くなります。そのため、支払う掛金の総額はCさんのほうが少なくなりますが、受け取る年金の総額もCさんのほうが少なくなります。
このように、加入年齢によって将来受け取る年金の額が変わるため、標準年齢で加入した人を基準として掛金率を設定することで、制度全体の公平性を保っています。