市場外買収:TOBの仕組みと注意点
株式公開買付け(TOB)とは、ある会社を買収したいと考える会社が、多くの株主に対して、証券取引所を経由せずに、一定の期間、あらかじめ決められた価格で株式を買い取ると広く伝える行為です。 簡単に言うと、買収を望む会社が、株を売りたい人を広く募集し、直接買い取る仕組みです。
証券取引所では、日々株価が変動し、少しずつ株を買い集めることになりますが、TOBでは、買収を希望する会社が、あらかじめ買い取り価格と期間を提示するため、短期間で多くの株を集めることができます。市場で少しずつ株を買い集めるよりも効率的に買収を進めることができるため、会社買収の手段としてよく使われています。
この方法には、買収する側と、株を売る側の双方にメリットがあります。買収する側は、市場での株価の変動に関係なく、欲しい株数を効率的に集めることができます。市場で株を買い集めようとすると、買収の動きが察知され、株価が上がってしまう可能性がありますが、TOBではそのようなリスクを避けることができます。
一方、株を保有している株主にとっては、市場で売るよりも高い価格で株を売却できる可能性があります。買収する側は、経営権を取得するために通常、市場価格よりも高い価格を提示するため、株主にとっては利益を得る良い機会となります。
TOBは、会社の支配権が誰に移るか、会社の経営改革に大きな影響を与えるため、その結果が市場関係者から注目されます。成功すれば、会社の経営方針が大きく変わり、新しい事業展開や成長につながる可能性があります。逆に失敗すれば、買収を仕掛けた会社は多額の費用を負担することになり、会社の経営にも影響が出ることがあります。