株価変動

記事数:(5)

相場

株価の保ち合い放れ:チャンスをつかむ

株価は生き物のように常に動いています。活発に売買される時期もあれば、比較的静かな時期もあります。この静かな時期のことを「保ち合い」と言います。保ち合いとは、株価がある程度の価格帯の中で上下に変動するものの、そこから大きく上にも下にも抜けない状態のことを指します。まるで株価が次の大きな動きに向けて力をためているかのように見えます。 この保ち合いの状態から、株価が大きく上か下に動き出すことを「保ち合い放れ」と言います。保ち合い放れは、株価の新たな方向性を示す重要な合図です。これまで方向感のなかった株価が、上向きになるか、下向きになるかがはっきりと示されるため、投資家にとっては大きなチャンス、あるいはリスクとなります。 保ち合い放れが起こると、多くの投資家が注目し、売買が活発になります。上放れのケースでは、上昇トレンドの開始と考えられるため、買い注文が増えて株価がさらに上昇していく可能性があります。逆に下放れのケースでは、下降トレンドの開始と考えられるため、売り注文が増えて株価がさらに下落していく可能性があります。 保ち合い放れは、テクニカル分析において重要な要素の一つです。過去のチャートから保ち合いの値幅や期間を分析することで、今後の株価の動きを予測する手がかりを得ることができます。ただし、保ち合い放れのように見える動きでも、一時的なもので終わってしまう「だまし」と呼ばれる動きも存在するため、注意が必要です。保ち合い放れを売買の判断材料とする際は、他の指標も組み合わせて総合的に判断することが大切です。
相場

往って来い:相場の値動き

株や為替などの市場では、価格が上下に変動するのはよくあることです。その中で、「往って来い」と呼ばれる値動きがあります。これは、一定の期間で価格が上がった後、再び元の価格に戻る現象、あるいはその逆に、下がった後、元の価格に戻る現象を指します。まるで価格が出かけて行き、また戻ってくるように見えることから、このように呼ばれています。 例えば、株式市場で考えてみましょう。朝、取引が始まった時の価格を寄り付き、取引が終わった時の価格を大引けと呼びます。ある日の寄り付きから大引けまでの間に、株価が一時的に大きく上昇したとします。ところが、その後、株価は下落し、最終的には寄り付きとほぼ同じ水準で取引を終えました。このような場合が「往って来い」の一例です。 また、「往って来い」は、一日だけでなく、もっと長い期間でも起こります。例えば、一週間の取引を考えてみましょう。週初めに株価が大きく下落したとします。しかし、その後、週末にかけて株価は上昇し、週明けの価格とほぼ同じ水準に戻りました。これも「往って来い」と呼ばれる値動きです。 では、なぜこのような「往って来い」が起こるのでしょうか?それは、市場で取引する人たちの考えや取引の状況、市場の外からの影響など、様々な原因が考えられます。例えば、ある企業に関する良い噂が広まり、一時的に株価が上昇したとします。しかし、その後、その噂が誤りだと分かれば、株価は下落し、元の水準に戻ってしまうかもしれません。 このように、市場では様々な要因で価格が変動します。ですから、短期的な価格の変動に一喜一憂するのではなく、市場全体の流れを冷静に判断することが大切です。また、過去の価格変動のグラフなどを分析する、いわゆる図表分析などを活用することで、より適切な投資判断を行うことができるでしょう。
指標

HV指標でリスク管理

過去の値動きを基にして、将来の価格の上がり下がりを占う一つの方法に、ヒストリカル・ボラティリティ(略してHV)というものがあります。これは、過去の市場の値動きデータから、これからの価格変動の可能性を示す指標です。 過去の値動きが大きかった資産は、将来も同様に大きく変動する可能性が高いと考えられます。例えば、ジェットコースターのように激しく上下する株は、今後も同様に大きく動く可能性が高いと予想されます。逆に、緩やかな丘陵のように穏やかな値動きだった資産は、将来も比較的安定した値動きを続けると考えられます。 では、このHVはどのように計算するのでしょうか。HVは、過去の一定期間の価格変動から標準偏差を計算することで求められます。標準偏差とは、データのばらつき具合を示す数値です。ばらつきが大きいほど、標準偏差も大きくなります。例えば、過去1年間の株価の動きを基にHVを計算すれば、今後1年間の株価の変動幅を予測する手がかりとなります。過去1年間の株価の動きが激しければHVは大きくなり、今後1年間も株価が大きく変動する可能性が高いと予想できます。 しかし、注意しなければならないのは、HVはあくまでも過去のデータに基づいた予測であり、将来の値動きを確実に言い当てるものではないということです。市場を取り巻く環境が大きく変わったり、予想外の出来事が起こったりすると、過去の傾向とは全く異なる動きになる可能性も十分にあります。 ですから、HVだけで投資を決めるのではなく、他の指標や情報も併せて総合的に判断することが大切です。また、HVを計算する期間を変えることで、短期間での値動きの激しさと長期間での値動きの激しさを比べることもできます。例えば、1週間のHVと1年間のHVを比較することで、短期的な変動と長期的な変動の違いを把握することができます。
株式投資

株価チャートの窓:投資のヒント

株価の動きを図表にしたものを株価図表といいます。この図表を注意深く見ていると、通常は価格が連続的に変化し、なめらかな曲線を描いていることが分かります。しかし、時として株価が急激に上がり下がったりし、図表上に空白の部分が現れることがあります。この空白部分を「窓」と呼びます。窓は、市場に大きな変化が起こったことを示す重要な合図であり、投資の判断において見逃せない要素です。 なぜこのような窓ができるのでしょうか。株価の急激な変動は、様々な要因によって引き起こされます。例えば、会社の業績発表が良い場合、多くの投資家がその会社の株を買おうとするため、株価が急上昇することがあります。逆に、悪い業績が発表された場合は、株を売ろうとする人が増え、株価が急落する可能性があります。また、新しい法律や規則、世界的な経済の動きなども、株価に大きな影響を与えます。これらの出来事によって、投資家の心理や市場における売買のバランスが大きく変わり、株価の急激な変動、つまり窓の発生につながるのです。 窓には、いくつかの種類があります。上昇窓は、前の日の最も高い価格よりも、次の日の最も低い価格が高い場合にできます。これは、市場が強気であることを示唆しています。逆に、下降窓は、前の日の最も低い価格よりも、次の日の最も高い価格が低い場合に発生します。これは、市場が弱気であることを示唆しています。これらの窓の種類を理解することで、今後の株価の動きを予測する手がかりを得ることができます。窓の出現は、市場の活発な動きを視覚的に示したものであり、投資家にとって価値ある情報を提供してくれます。ですから、株価図表を見る際には、価格の動きだけでなく、窓にも注目することで、より的確な投資判断を行うことができるでしょう。
指標

過去の値動きからリスクを読む:ヒストリカル・ボラティリティ

過去の値動き、つまりどれくらい価格が上下したのかを把握することは、投資においてとても大切です。これを数値で表したものが、過去の値動きに基づいて将来の価格変動の可能性を探るための重要な指標、ヒストリカル・ボラティリティです。一定期間における価格の揺れ幅を数値化することで、投資対象がどれほど値動きが激しかったのかを客観的に理解できます。過去の値動きが大きければ大きいほど、将来も大きく動く可能性が高いと考えられます。 この数値は、将来の価格変動の予想に役立ちます。もちろん、過去と同じように動くとは限りませんが、過去の値動きを知ることで、どれくらいの価格変動があり得るのかをある程度予測し、心構えすることができます。これは、リスク管理や投資判断において特に重要です。想定外の大きな値下がりで慌てないためにも、事前にどれくらいのリスクがあり得るのかを把握しておく必要があります。 ヒストリカル・ボラティリティは、株式や債券、為替、商品など、様々な金融商品に適用できます。それぞれの金融商品がどれくらい値動きしやすいかを知り、自分の投資方針に合っているかを見極める材料として活用できます。過去の値動きを分析することで、将来の潜在的な危険性と見返りをより深く理解することができます。過去のデータから将来を完全に予想することは不可能ですが、ヒストリカル・ボラティリティは、将来の不確実性を数値化し、より適切な投資判断を行うための強力な道具となります。過去の値動きを理解することは、いわば、将来の航海のための羅針盤のような役割を果たしてくれるのです。