お金の時間価値:今のお金と将来のお金の価値の違い
同じ額のお金でも、今すぐ手にするお金と、将来受け取るお金では、その価値に違いがあるという考え方を「時間価値」といいます。ほとんどの場合、すぐに使えるお金の方が価値が高いと判断されます。なぜなら、今手元にあるお金は、すぐに買い物に使うことも、投資に回すこともできるからです。一方、将来受け取れるお金は、その時点まで使うことができません。
将来のお金は、不確実性を伴います。例えば、将来の景気が悪化して物の値段が大きく上がったり、逆に景気が良くなりすぎてお金の価値が下がったりするかもしれません。また、お金を受け取る約束をしていた相手が、約束を守ってくれない可能性もゼロではありません。このように、将来受け取れるお金には、様々なリスクが潜んでいます。これらのリスクを考慮すると、確実性が高い今のお金の方が価値が高いと言えるでしょう。
この、今のお金と将来のお金の価値の差を「時間価値」と呼びます。時間価値の大きさは、主に二つの要素に影響を受けます。一つは利子です。今持っているお金を銀行に預ければ利子がつきます。将来受け取るお金を今受け取る場合、その間に得られるはずだった利子を差し引く必要があります。もう一つは物価上昇、つまりインフレです。将来同じ額のお金を受け取っても、物価が上がっていれば、買える物の量は今より少なくなります。そのため、将来のお金の価値は、物価上昇率を考慮して割り引いて考える必要があります。
時間価値の考え方は、投資判断を行う上で非常に重要です。例えば、投資によって将来大きな利益が得られるとしても、時間価値を考慮すると、現在の価値はそれほど大きくないかもしれません。逆に、すぐに費用がかかる投資でも、将来得られる利益の時間価値を計算することで、その投資の真の価値を見極めることができます。このように、時間価値を理解することは、賢いお金の使い方や投資判断をする上で欠かせない要素と言えるでしょう。