費差損益:予算管理の重要性
費差損益とは、事業を行う上で欠かせない、計画と現実の差から生まれる損益のことです。事業を始める前には、どれだけの費用がかかり、どれだけの利益が得られるかという計画を立てます。これを予算と言います。そして実際に事業を終えた後に、実際にかかった費用を集計します。これが実績です。この予算と実績の差額が、費差損益となります。
例えば、新しい商品の販売を計画したとします。広告費に100万円、材料費に200万円、人件費に300万円、合計600万円の費用を見込んで、1000万円の売り上げを目指すとします。ところが、実際には広告が予想以上に効果があり、材料費も大量購入によって安く抑えられ、人件費も効率化が進み、結果として費用は合計500万円で済みました。売り上げは目標通り1000万円だったとすると、利益は500万円になります。当初の計画では400万円の利益を見込んでいたので、100万円も多く利益が出たことになります。この100万円が費差による利益、つまり費差益です。
逆に、広告の効果が薄く、材料費が高騰し、人件費も想定以上にかかってしまい、結果として費用が700万円になったとします。売り上げは目標通り1000万円だったとすると、利益は300万円になります。当初の計画では400万円の利益を見込んでいたので、100万円少なく利益が出た、あるいは100万円の損失が出たことになります。この100万円が費差による損失、つまり費差損です。
このように費差損益を分析することで、事業の効率性や問題点を把握することができます。費用が想定より少なかった場合は、なぜ少なかったのか、その成功要因を探り、さらに改善できる点がないか検討します。費用が想定より多かった場合は、なぜ多かったのか、その原因を突き止め、対策を講じる必要があります。費差損益は、単なる数字の比較ではなく、今後の事業計画を立てる上での貴重な資料となるのです。