掛金なしで運用? 指図者とは
確定拠出年金という制度の中で、『運用指図者』という聞き慣れない役割を担う人がいます。確定拠出年金とは、毎月自分で積み立てたお金を、投資信託などで運用し老後の資金を作る制度です。通常は加入者自身で積み立てたお金をどのように運用するか指示を出します。しかし、運用指図者は積み立てには参加せず、既に積み立てられたお金の運用方法だけを指示します。例えるなら、自分のお金ではなく、既にプールされているお金をどのように増やすか指揮する司令塔のような存在です。
確定拠出年金では、基本的には加入者自身が運用方法を決めます。しかし、病気や怪我で意思表示が難しくなった場合や、海外赴任などで長期間指示を出せない場合などを想定し、運用指図者を指定できる仕組みになっています。もしもの時に備え、あらかじめ家族など信頼できる人を運用指図者に指定しておくことで、自分の資産を適切に管理してもらうことができます。
運用指図者は、代理人とは少し違います。代理人は本人に代わってあらゆる手続きを行うことができますが、運用指図者は運用指示に関する権限のみを持ちます。つまり、積み立てたお金を引き出したり、年金を受け取る方法を変更したりすることはできません。あくまで、どのように運用していくかの指示のみを出す役割に限定されています。
このように、運用指図者は加入者が運用指示を出せない状況になった場合に、資産運用を継続させるための重要な役割を担っています。確定拠出年金における柔軟な運用体制を支える存在と言えるでしょう。