年金基金の解散計画:概要と影響
厚生年金基金の解散計画とは、将来(5年以内)の解散を見据えた基金の財政運営の設計図です。平成25年の法律改正によって作られた制度で、解散を目指す基金が、解散予定日時点での必要な積立金額や、そこまでの毎年の収支の見込みなどを具体的に示した計画書を作成し、厚生労働大臣の承認を得る必要があります。
この計画書には、基金がどのように財産を管理・運用し、加入者への年金給付を確実に行っていくかという道筋が示されます。計画が承認されると、基金はその計画に基づいて運営を行うことができます。従来、厚生年金基金は毎年度、財政状態が国の定めた基準を満たしているかをチェックされる必要がありました。これは、基金が将来にわたって年金を支払い続けられるかを確認するためです。しかし、解散計画が承認された基金については、この毎年のチェックは行われません。代わりに、計画で立てた見込みと実際の状況とのずれ具合がチェックされます。つまり、解散という最終目標に向けて、計画通りに進んでいるかを検証するのです。
この制度は、基金が計画的に解散を進めることを後押しするためのものと言えるでしょう。解散に至るまでの財政運営を安定させ、加入者への年金給付に影響が出ないようにすることを目的としています。計画的に解散を進めることで、想定外の事態を防ぎ、加入者の年金受給権を保護することに繋がります。将来の不安を解消し、安心して年金を受け取れるよう、この制度は重要な役割を果たしています。