帰属価値:GDPへの影響
帰属価値とは、市場で売買されていないもの、例えばサービスや財に、統計を使って計算で出した価値のことです。簡単に言うと、お金を払って買ったものではないけれど、私たちが生活の中で得ている利益を、お金に換算したといえます。
私たちの国の経済の大きさを測る物差しの一つに、国内総生産(GDP)というものがあります。これは、一年間に国内で作られたモノやサービスの合計額です。しかし、GDPには、お金を払って売買されたものだけが含まれているわけではありません。例えば、賃貸住宅に住んでいる人は家賃を払いますが、持ち家に住んでいる人は家賃を払いません。でも、持ち家に住むことで、住む場所を得ているという利益を受けていますよね。この利益、つまり住宅に住むサービスの価値も経済活動の一部として考えられます。なので、持ち家に住んでいる人が得ている住宅サービスの価値を計算して、GDPに含めているのです。これが帰属価値の一例です。もし、この帰属価値をGDPに含めないと、持ち家の人が多い国と、賃貸住宅に住む人が多い国で、GDPを正しく比べることができなくなってしまうのです。
同じように、自分で商売をしている人が、自分で作った商品やサービスを自分で使った場合も、お金のやり取りが発生しません。また、国が私たちに提供するサービス、例えば警察や消防、道路などのサービスも、直接お金を払って利用しているわけではありません。これらのサービスにも、私たちが得ている利益、つまり価値があります。このような、市場で売買されていないサービスの価値も計算してGDPに含める必要があります。こうした市場で取引されていない財やサービスの価値を推計してGDPに含めることで、より正確に国の経済状態を把握することができるのです。このように、GDPを計算する上で、帰属価値は大切な役割を果たしているのです。