騰落レシオで市場を読む
騰落レシオは、株式市場全体の動きを把握するための重要な指標です。これは、市場で値上がりした銘柄数を値下がりした銘柄数で割って、100を掛けた数値で表されます。簡単に言うと、市場全体の上がり下がりの勢いを示す比率と言えるでしょう。
例えば、ある日の市場で1000銘柄が取引され、そのうち700銘柄が値上がりし、300銘柄が値下がりしたとします。この場合、騰落レシオは(700 ÷ 300) × 100 = 約233となります。この数値が高いほど、市場全体の上昇傾向が強いことを示唆し、低いほど下降傾向が強いことを示唆します。
一般的に、騰落レシオが100を上回ると買い優勢、100を下回ると売り優勢と判断されます。しかし、常にこの通りに動くとは限りません。騰落レシオが極端に高い状態(例えば200以上)は、過熱感の表れと解釈されることもあります。逆に、極端に低い状態(例えば50以下)は、売られすぎの状態と解釈されることもあります。つまり、高すぎても低すぎても、相場の転換点の可能性を示唆していると言えるでしょう。
騰落レシオは、単独で使うよりも、他の指標と組み合わせて使うことで、より精度の高い分析が可能になります。例えば、移動平均線や出来高などと併せて分析することで、市場のトレンドや売買の勢いを多角的に見ることができます。また、過去の騰落レシオの推移を分析することで、市場の周期性や転換点を見つける手がかりを得ることも可能です。騰落レシオは、あくまでも市場の全体的な傾向を示す指標の一つであり、投資判断の絶対的な基準ではありません。しかし、市場参加者の心理状態を反映しているため、売買のタイミングを計る上で貴重な情報源となります。