小さな政府:市場の力最大限
小さな政府とは、市場の働きを尊重し、政府の役割を必要最小限にするという考え方です。民間の活力を最大限に引き出すことで、経済全体をより良くしようというものです。端的に言えば、市場への政府の介入は、市場がうまく機能しない時に限定すべきという考え方です。
では、政府の役割は具体的にどのようなものなのでしょうか。小さな政府においても、市場の失敗を正す役割は重要です。例えば、独占や寡占によって自由な競争が阻害されている場合は、公正取引委員会などを通じて是正を促します。また、公共財と呼ばれる道路や橋、国防など、民間企業では供給が難しいものについては、政府が責任を持って提供します。さらに、教育や福祉といった分野では、機会の平等を保障するために一定の役割を果たします。
小さな政府を実現するための政策としては、まず規制緩和が挙げられます。企業活動の自由度を高め、新規参入を促すことで競争を活性化し、経済全体の効率性を高めます。次に、民営化です。国や地方自治体が経営する事業を民間に委託することで、経営の効率化を図り、財政負担の軽減を目指します。そして、減税です。法人税や所得税などを引き下げることで、企業の投資意欲を高めたり、家計の消費を刺激したりすることで経済の活性化を図ります。
小さな政府は、市場経済の効率性と個人の自由を重視する立場から支持されています。需要と供給に基づいて価格や資源配分が決定される市場メカニズムは、効率的な資源配分を実現する上で重要な役割を果たします。政府の過剰な介入は市場メカニズムを歪め、経済全体の効率性を低下させると考えられています。また、経済活動における個人の自由な選択を尊重し、過度な規制や介入は個人の経済的自由を阻害する要因と捉えます。しかし、市場経済には失敗もあり得るため、その是正において政府の役割は不可欠です。小さな政府は、市場の失敗を認めつつも、基本的には市場の力を信じる考え方と言えます。