小さな政府

市場経済体制とは、商品の生産量や価格、仕事のやり方などを、国ではなく、市場で取引をする一人ひとりの判断で決めるしくみのことです。物を買う人や、物を売る人、働く人など、それぞれが自分の利益を考えて行動することで、社会全体にとって良い状態が自然と生まれると考えられています。 たとえば、あるお菓子がみんなに人気だとします。ほしい人が多い、つまり需要が多いと、そのお菓子の値段は上がります。すると、お菓子を作る会社は、たくさん売って儲けを増やそうと、もっとたくさんのお菓子を作ります。逆に、あまり人気のないお菓子は、ほしい人が少ないため、値段は下がります。すると、お菓子を作る会社は、売ってもあまり儲からないため、作る量を減らしたり、もっと人気のあるお菓子を作るようにしたりします。 このように、市場経済体制では、値段を通じて、物を作る量や売る量が自然と調整されるのです。これを「市場のしくみ」と呼びます。ほしい人が多ければ値段が上がり、作る人が増え、ほしい人が少なければ値段が下がり、作る人が減る、という具合です。 市場経済体制では、一人ひとりが自由に考えて行動することが大切です。新しい商品を考え出したり、より良いサービスを提供したりと、競い合うことで社会全体が発展していくと考えられています。また、国が経済にあまり介入しないため、個人の自由が守られるという利点もあります。 ただし、市場経済体制にも注意すべき点があります。環境問題への対応が遅れたり、貧富の差が大きくなりがちであったりといった問題も指摘されています。そのため、市場のしくみだけに頼るのではなく、国がある程度の調整を行うことも必要です。