期末・月末要因:株価への影響
期末・月末要因とは、会計年度の終わりや月の終わりが近づくにつれ、株式市場で売りが増加し、株価が下落する傾向を指します。これは様々な要因が複雑に絡み合って発生する現象です。
まず、企業の決算対策が大きな要因の一つです。多くの企業は、決算期末に向けて保有資産の見直しを行います。この際、損失が出ている株式を売却し、損益を確定させることで、税負担を軽減したり、決算書上の業績を良く見せたりしようとします。また、評価損、つまり保有資産の時価が簿価を下回っている状態を避けるためにも、株式の売却が行われることがあります。特に、3月期末は日本の多くの企業の決算期末と重なるため、この傾向が顕著に現れ、株式市場全体に大きな影響を与えます。
さらに、金融機関の決算対策も影響します。銀行や証券会社などの金融機関も、期末に向けて保有株式の損益を確定させる動きを見せます。また、自己資本比率規制などの規制対応のためにも、リスク資産である株式を売却する必要がある場合もあります。
加えて、機関投資家の運用成績評価も期末・月末要因に関係しています。多くの機関投資家は、期末や月末に運用成績を評価されます。そのため、評価期間の終わりに向けて利益を確定させ、良い成績を残そうと、保有株式を売却する傾向があります。特に、運用成績が目標に届いていない場合、損失を確定させるよりも利益を確保することを優先する傾向が強まります。
このように、企業や金融機関の決算対策、そして機関投資家の運用成績評価などが重なり、期末・月末には株式市場で売りが増加しやすくなります。そのため、この時期には株価が下落する傾向があり、市場参加者はこれらの要因を意識して、慎重な売買判断をする必要があります。