企業年金資産の自動移換:知っておくべきポイント
会社を辞めた後も、将来受け取るお金のことを考えることは大切です。会社員時代には企業年金という制度を通して、将来の年金を受け取るための準備を進めていたことでしょう。企業年金の中には、確定拠出年金(DC)と呼ばれるものがあります。これは、将来受け取る年金のお金を、加入者である個人が自ら管理・運用していく制度です。
この確定拠出年金に加入していた人が、転職や退職などで会社を辞めた場合、積み立ててきた大切な年金資産をどのように管理していくか、自身で決めなければなりません。いくつかの選択肢があり、他の会社の企業型年金や、個人で加入する個人型年金、あるいは確定給付企業年金などに移すことができます。また、企業年金連合会に預けるという方法もあります。あるいは、一時金として受け取ることも可能です。
しかし、こうした手続きをうっかり忘れてしまう人もいるかもしれません。そこで、自動移換という仕組みが用意されています。自動移換とは、退職後6か月以内に、上記のいずれかの方法で年金資産の管理先を決めなかった場合、自動的に国民年金基金連合会に資産が移されるというものです。
ただし、全てのケースで自動移換が行われるわけではありません。転職・退職した会社が引き続き運用を指図するタイプの企業型年金に加入していた場合は、自動移換の対象外となりますので注意が必要です。
この自動移換という仕組みは、退職後の手続きを忘れてしまい、将来受け取るはずの年金がどうなるか分からなくなってしまう、といった事態を防ぐための安全策と言えるでしょう。将来の生活設計をスムーズに進めるためにも、退職後の年金資産の管理については、しっかりと理解しておくことが重要です。