企業年金の非継続基準:その重要性
企業年金は、従業員の老後の生活設計を支える大切な制度です。将来の年金給付を約束している以上、年金基金には健全な財政状態が求められます。この財政状態を確かめる方法の一つに、『非継続基準』があります。
この非継続基準とは、企業年金が万が一解散した場合でも、それまでの加入期間に応じて、既に発生している、あるいは将来発生すると見込まれる最低限の給付(最低保全給付)を支払えるだけの資産があるかどうかを調べるものです。簡単に言うと、年金制度の『安全装置』のような役割を果たしています。
将来の年金給付は、加入者の勤続年数や給与などによって変化する複雑な計算式で算出されます。しかし、非継続基準では、複雑な将来予測をせず、現在の状況で年金制度が解散した場合に最低限支払うべき年金額を計算します。そして、その最低限の年金額を支払うのに十分な資産が年金基金にあるかどうかを調べます。
もし、この基準を満たしていない、つまり最低限の給付を支払うだけの資産が不足している場合、企業は追加の掛金を支払うなどの対策を行い、必要な積立金額を確保しなければなりません。これは、従業員の将来の年金給付を守るための大切なルールです。非継続基準を満たすことで、加入者は安心して老後の生活設計を立てることができます。また、企業にとっても、従業員の生活を守る責任を果たすだけでなく、健全な企業経営を維持していく上でも重要です。