合意形成

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経済知識

多数決でなく全員の同意?ネガティブ・コンセンサス方式とは

世界貿易機関(略称WTO)は、多くの国々が参加する貿易のルール作りと、自由な貿易を広げることを目的とした国際機関です。現在、加盟国は164か国にものぼり、経済の規模や発展の度合い、それぞれの国が求める利益も様々です。これほど多くの、そして様々な国々が集まる中で、皆が納得するルールを作り、物事を決めていくには、適切な方法が必要です。WTOでは、「ネガティブ・コンセンサス方式」と呼ばれる独特の方法で意思決定を行っています。 この方法は、簡単に言うと「反対する国がなければ、提案は承認されたとみなす」というものです。通常、国際機関では、何かを決定する際に、参加国の過半数、あるいはもっと多くの国の賛成が必要となります。しかし、WTOでは、会議で提案された内容について、全ての加盟国が反対しない限り、その提案は承認されるのです。つまり、黙っていれば賛成とみなされるため、「反対」の意思を明確に示すことが重要になります。 この方式の利点は、全ての加盟国の意見を尊重し、可能な限り多くの国が納得できる決定を導き出すことができる点です。反対意見を持つ国があれば、その理由を聞き、調整を行いながら合意形成を目指します。反対意見がどうしても解消されない場合は、提案は否決されます。 しかし、加盟国が多いほど、全ての国が納得する合意を得るのは難しく、意思決定に時間がかかることもあります。また、一部の国が自国の利益のために反対を繰り返すと、WTOの機能が停滞する恐れもあります。 WTOは、世界の貿易を円滑に進める上で重要な役割を担っています。ネガティブ・コンセンサス方式は、多様な国々の意見を反映させるための工夫の一つですが、その長所と短所を理解し、より効果的な運用方法を模索していく必要があります。