企業年金:単独設立のすべて
単独設立とは、会社が従業員の老後の生活を支えるための仕組みの一つである厚生年金基金を、自社のみで作るやり方のことです。これは、複数の会社が一緒に基金を作る共同設立や、同じ仕事をする会社が集まって作る全体設立とは違います。単独設立の場合、会社の本社だけでなく、支店や工場など、会社全体で一つの基金を運営します。
全員が同じ仕組みで年金を運用することで、従業員にとって分かりやすく、みんなが同じように年金を受け取れる仕組みになります。また、会社にとっても、制度の管理や運営を一つにまとめることができるので、事務仕事が楽になるという良い点があります。
しかし、単独設立を行うには、平成17年4月以降、基金に加入する人が1,000人以上いなければならないという決まりがあります。これは、基金の運営を安定させるために必要な人数だと考えられているからです。つまり、従業員数が少ない会社では、単独設立で厚生年金基金を作るのは難しいと言えます。
大勢の従業員を抱える大きな会社にとって、単独設立は、年金制度を自分たちの会社に合った形で運用できるという利点があります。従業員の状況や会社の考え方に基づいて、基金の仕組みを決めることができるからです。また、運営費用を自社のみで負担するため、共同設立のように他の会社との調整が必要なく、意思決定が速やかに行えるという点もメリットです。
一方で、1,000人以上の加入者を集めるのが難しい中小企業にとっては、単独設立は現実的ではないでしょう。そのような会社は、共同設立や全体設立といった他の方法を検討する必要があります。それぞれの設立形態にはメリットとデメリットがあるので、会社の規模や状況に合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。