J-IRISS:内部者情報登録・照合システムとは
証券取引等監視委員会の指導のもと、日本証券業協会が運営する「内部者情報登録・照合システム(J-IRISSJapan-Insider Registration & Identification Support System)」について説明します。この仕組みは、上場会社の役員や主要株主など、一般に公開されていない重要な情報に触れる立場にある人を「内部者」と呼び、証券会社がこれらの内部者の情報を登録・管理することで、不正な取引を未然に防ぐことを目指しています。
証券会社は、顧客から株式の売買注文を受けると、その顧客が内部者情報登録者に該当するかどうかをJ-IRISSで確認します。該当する場合、その顧客は未公開の重要事実を知っている可能性があるため、証券会社は顧客に注意を促し、必要に応じて売買を制限するなどの対応を行います。
具体的には、上場会社は、自社の内部者にあたる人物の氏名、住所、保有株式数などの情報をJ-IRISSに登録します。登録された情報は、証券会社が顧客からの注文を受け付けた際に照合に利用されます。もし顧客が内部者登録者と一致した場合、システムは警告を発し、証券会社はその顧客の取引状況を詳しく確認します。
このシステムによって、内部者による不正な取引の可能性を早期に発見し、未然に防ぐことが期待されます。また、証券会社は、顧客が内部者であることを認識することで、適切な注意喚起や取引制限などの措置を講じることができ、法令遵守の徹底につながります。さらに、内部者自身も、自分が登録されていることを意識することで、コンプライアンス意識の向上を期待できます。J-IRISSは、公正で透明性の高い市場環境を維持するために重要な役割を果たしています。