景気動向指数を読み解く
景気の良し悪しを知るために、様々な経済の指針が使われています。中でも景気動向指数は、今の景気を知って将来を予測するのに役立つ、大切な指針です。景気動向指数は、先行指数、一致指数、遅行指数の3種類に分かれており、それぞれの役割を理解することで、より的確に景気を判断できます。
先行指数は、名前の通り景気の動きに先だって変化する指針です。例えば、新規求人数や株価などが挙げられます。企業は景気が良くなると予想すれば人を雇おうとし、投資家も景気の先行きに期待して株を買います。そのため、これらの数値が上がれば数か月後に景気が良くなる可能性が高いと予想できます。つまり、先行指数は数か月先の景気の動きを予測するために使われます。
一致指数は、現在の景気を示す指針です。鉱工業生産指数や耐久消費財出荷額などが代表的な例です。工場で作られる製品の量や、冷蔵庫や洗濯機といった高額な商品の売れ行きは、景気が良い時は増加し、景気が悪い時は減少する傾向があります。そのため、これらの数値を見ることで、今の景気が良いのか悪いのかを判断することができます。
遅行指数は、景気の動きに遅れて反応する指針です。完全失業率や法人税収入などが該当します。景気が悪くなると企業は倒産したり人員削減を行ったりするため、失業者が増加します。また、企業の利益が減れば法人税収入も減少します。このように、遅行指数は景気の方向性を確認するために用いられます。景気が本当に良くなっているのか、あるいは悪化しているのかを判断するのに役立ちます。
これらの3種類の指数を総合的に見て判断することで、景気の現状と今後の動向について、より深く理解することができます。先行指数で将来の予測をし、一致指数で現状を把握し、遅行指数でその方向性を確認することで、より確かな景気判断が可能になるのです。