元引受契約

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株式投資

元引受契約:発行体の頼れる味方

会社を経営していると、事業を大きくするために、あるいは新しい機械を導入するために、まとまったお金が必要になることがあります。資金調達の方法の一つとして、株式や債券といった有価証券を発行し、広く投資家に購入してもらう方法があります。この時、発行する有価証券を確実に売り切ることができるかどうかが、資金調達の成否を大きく左右します。そこで登場するのが「元引受契約」です。 元引受契約とは、資金を必要とする会社(発行体)と、証券会社との間で結ばれる契約です。この契約では、証券会社が発行体から有価証券を一括で購入し、その後、自分の持ち物として投資家に販売していきます。発行体から見れば、有価証券をすべて証券会社に買い取ってもらうため、資金調達が確実に成功するという安心感を得られます。いわば、証券会社が発行体の代理店として、有価証券の販売を引き受けてくれるようなイメージです。 この契約には、発行体のメリットが大きい反面、証券会社にとってはリスクも伴います。なぜなら、証券会社は買い取った有価証券を必ずしもすべて売り切れるとは限らないからです。もし、市場の状況が悪化したり、投資家の需要が少なかったりすると、証券会社は買い取った有価証券を売れ残らせてしまう可能性があります。売れ残った有価証券は、証券会社自身の負担となってしまいます。 このように元引受契約は、発行体にとっては資金調達を確実にするための重要な仕組みであり、証券会社にとってはリスクを伴うビジネスであると言えます。発行体と証券会社は、それぞれの立場を理解した上で、契約条件を慎重に検討する必要があります。