金融機関の役割:リスク負担とは
お金を貸し借りする際には、必ず返済できないかもしれないという心配事がつきものです。これを『債務不履行のリスク』と言いますが、金融機関はこのリスクを肩代わりする役割を担っています。これを『リスク負担機能』と呼びます。
私たちが銀行にお金を預けると、銀行はそのお金を企業や個人に貸し出します。預けたお金は、事業を始める際の資金となったり、家を買うためのお金になったり、様々な形で経済活動を支えています。しかし、貸し出したお金が全てきちんと返済されるとは限りません。事業がうまくいかず倒産してしまったり、個人が失業して返済が滞ってしまう可能性もあります。このような場合、本来であればお金を預けた人が損失を被るはずですが、金融機関がそのリスクを負うことで、預金者は安心して預金することができます。
金融機関は、お金を貸し出す前に、借りる人の返済能力をしっかりと調べます。信用情報や事業計画などを確認し、返済できないリスクが高いと判断した場合は、貸し出しを見送ったり、より高い金利を設定することでリスクを抑えようとします。また、貸し倒れに備えて、あらかじめ準備金を積み立てておくことで、万が一返済が滞っても預金者への影響を最小限に抑える努力をしています。
このように、金融機関のリスク負担機能は、お金を貸し借りする人々の間に立って、経済活動を円滑に進めるための重要な役割を果たしていると言えるでしょう。安心して事業を始めたり、大きな買い物をしたりできるのは、このリスク負担機能があるおかげです。金融機関は、リスクを適切に管理しながら、社会全体の経済活動を支えているのです。