預り証方式の仕組みとリスク
預り証方式とは、海外の株式や債券といった財産に投資する際に、複雑な手続きを簡素化し、国内の投資家がより簡単に海外投資に参入できる仕組みです。具体的には、投資家が海外の財産に投資する注文を国内の証券会社に出すと、その証券会社が海外の取引先を通じて実際の売買を行います。投資家自身は海外の財産を直接保有する代わりに、国内の証券会社から発行される預り証を受け取ります。この預り証は、投資家が証券会社に財産を預けていることを証明する書類であり、投資家の権利を裏付ける重要な証拠となります。
例を挙げて説明すると、ある投資家がアメリカの会社の株式を購入したいとします。この投資家は、まず国内の証券会社に購入の注文を出します。証券会社は、海外の取引先を通じてアメリカの株式市場で株式を購入し、その株式を自社の保管場所に預けます。そして、投資家に対して、購入した株式の数量や種類などを記載した預り証を発行します。投資家は、この預り証を持つことで、間接的にアメリカの会社の株式に投資していることになります。
預り証方式のメリットは、投資家が海外の複雑な取引手続きや法規制などを意識することなく、国内の証券会社を通じて簡単に海外投資ができる点にあります。また、預り証は国内で発行されるため、保管や管理も容易です。一方で、投資家は証券会社に財産の管理を委託することになるため、証券会社の信用リスクを負うことになります。そのため、預り証方式を利用する際には、証券会社の財務状況や信頼性などを慎重に検討することが重要です。