市場の働きと国民所得
人々の暮らしを支える経済活動において、市場はモノやサービスを必要な場所へ届ける調整役として大切な役割を担っています。市場では、買い手と売り手の間で、モノやサービスの需要と供給が自由にやり取りされます。この需要と供給のバランスによって価格が決まり、どのくらい作って、どのくらい使うかの釣り合いが取られます。
市場が滞りなく機能すると、人手や材料、お金といった資源は無駄なく活かされ、経済全体が元気になることにつながります。物の値段が変わることは、作る側にとってはどれくらい作るかの合図となり、使う側にとっては買うか買わないかの大切な情報となります。例えば、ある食べ物が人気になると、値段が上がります。すると、作る人はもっとたくさん作ろうと考え、儲けが増えます。一方、値段が高くなったことで買うのをやめる人も出てきます。このようにして、需要と供給のバランスがとれていくのです。
市場では、買い手と売り手はそれぞれ自分の利益を考えて行動します。買い手はより安く良い物を手に入れたいと考え、売り手はより高く売りたいと考えます。この個々の行動が、全体として経済を調整していく力となります。まるで目には見えない手が、経済全体を良い方向へ導いているかのようです。これが市場の働きであり、私達の生活を支える経済の土台となっています。市場がうまく働けば、人々は必要なものを手に入れ、経済は成長していきます。反対に、市場がうまく働かなければ、物不足や不景気といった問題が起こりやすくなります。ですから、市場の働きを正しく理解することは、私たちの生活にとっても、経済の未来にとっても、とても重要なことなのです。